新サービス基盤にFCoEを採用して品質を向上
コロケーションをはじめ、データセンターを軸とするトータルソリューションを提供するビットアイル。同社のクラウドコンピューティングサービスが「CloudISLE」であり、そのメニューのひとつが「サーバオンデマンドNEXT」です。1ゲストOS単位、または1専用サーバー単位で、必要な時に必要なだけコンピュータリソースを提供する次世代オンデマンドサービスです。
「たとえば、最初はサーバーをクラウドで導入し、規模が拡大したらコロケーションへ移行するなど、柔軟に運用できます。クラウドとコロケーション、仮想と物理の両方の“いいとこ取り”をするサービスです」(福澤氏)
同社は「サーバオンデマンドNEXT」の開始にあたり、IT基盤そのものを強化すべく刷新に取り組みました。その新基盤はクラウド以外のサービスも乗る共通基盤であり、同社のビジネス全般を支えます。
新基盤はVMwareで仮想化したIAサーバーと、FC接続したSANが中心となります。一般的には、LANとSANの2系統のネットワークが混在して構成が複雑になるため、メンテナンスや拡張の際に支障をきたします。しかも、規模拡大時にはデータI/Oやネットワークがボトルネックとなり、パフォーマンスや安定性が低下する恐れもあります。
同社はそのような課題を解決するため、FCoE(Fiber Channel over Ethernet)によって、LANとSANを統合する構成を採用しました。FCoEはファイバーチャネルを機能拡張したイーサネット(DCB)のフレームとして運ぶためのプロトコルです。
「ネットワークには先進性を、ストレージには確実性を求めつつ、長いスパンでの拡張性やメンテナンス性、コスト削減を考えると、FCoEが最適な選択でした」(中島氏)

株式会社ビットアイル
マーケティング本部
サービス開発部
部長代理
福澤 克敏 氏
LANとSANの統合でネットワークをシンプル化
同社はFCoEの実現手段として、いくつか挙げた候補を比較した結果、ブロケード社のFCoEスイッチ「Brocade 8000」を採用。同機器を用いた新基盤の構築作業は、東京エレクトロンデバイスの全面支援を受けることにしました。
「東京エレクトロンデバイスには以前からロードバランサーなどでお世話になっていましたが、設計・構築の段階から、さまざまな面で手厚くサポートしてくれるので、今回もお願いしました」(中島氏)
「Brocade 8000と、どの機器をどう組み合わせるのがポイントです。東京エレクトロンデバイスはマルチベンダー環境でのノウハウが豊富ですね」(福澤氏)
また、東京エレクトロンデバイスの提案によって、「Brocade 8000」を複数台構成にしたり、既存サービスのLANと接続したりするために、アリスタ・ネットワークス社のイーサネット・スイッチ「Arista7148」も採用しました。10Gbpsの「Brocade 8000」と1GbpsのLANを接続してネットワークを構成する際、10Gbpsと1Gbpsのスイッチで階層構造するよりも、「Arista7148」に集約した方がコストが安くなり、構成もシンプルにできたからです。
基盤刷新は2010年9月からスタート。FCoEという比較的新しい技術を採用するため、事前検証に力を入れました。実現性はもちろん、サービス開始後の拡張性やパフォーマンスも視野に入れて検証しました。
「特にパフォーマンスの検証では、東京エレクトロンデバイスに頼り切りでした。マルチベンダー環境でのパフォーマンステストに慣れていて、頼もしかったですね」(福澤氏)
「スタッフの技術レベルが高く、質問にその場で即答えてくれます。それにFCoE製品・技術の専門家をコーディネートし、問題を解決できる力も強くて助かりますね」(中島氏)

株式会社ビットアイル
iDC本部
システム技術部
第二技術グループ
中島 秀平 氏
消費電力や運用工数も大幅に削減
2010年11月、ビットアイルは基盤刷新を無事完了し、「サーバオンデマンドNEXT」をサービスインしました。FCoEの採用によって、さまざまなメリットを得ています。
「目標とした拡張性やパフォーマンスが達成できた上に、LANとSANを統合できたおかげで、ケーブルの本数を約1/3に削減でき、メンテナンスが大変楽になりました。さらに副次的な効果として、FCoE採用が先進性のアピールとなり、顧客からの引き合いが増えたのは、ちょっとした驚きです」(中島氏)
さらには「Arista7148」もあわせ、FCoEによってネットワーク構成をシンプル化できたことは省エネや運用コスト削減につながりました。同社では、スイッチ数を減らした結果、LANとSANを分けた従来の構成に比べて消費電力を1/5~1/3程度に、運用工数を約1/3に削減できると見込んでいます。ビットアイルは今後、ユーザー数の増加にあわせて、「サーバオンデマンドNEXT」のサービスメニュー追加を順次行い、そして、今回刷新した共通基盤を活かしてサービス全体を拡充していく予定です。
「たとえば、低遅延を活かしたストレージサービスなど、クラウド以外のサービスも意欲的に提供したいと思います。データセンター事業者として、お客様のニーズにより応えられるサービス体制の整備に、これからも東京エレクトロンデバイスの支援を期待したいですね」(福澤氏)
■ソリューション解説
本事例の最大のポイントは、シンプルにLANとSANのI/O統合をすることで、システム全体のコスト効率を向上させたことと、先進技術製品の採用により、性能問題への対処と共に将来の拡張性への担保を両立させたことです。技術的な観点では、ビットアイル様のサービスの拡張に合わせてプロビジョニング可能なサーバーに対応したシステム構成と、ストレージアクセスに耐えうるパフォーマンスの確保が、統合されたネットワークで実現可能という点です。
以前より弊社内で行ったサーバー仮想化環境での各種検証にて、FCストレージを使用したFCoE/DCB環境が、NAS、iSCSIなどを使用した環境と比べ、安定したパフォーマンスを実現し、サーバーへの通信負荷が非常に低いことが確認されています。この要因は、通信プロトコルのオーバーヘッドが低いこと、低遅延設計などの技術的な要因も大きいのですが、既存で実績のあるFCストレージを保有されるビットアイル様にとっては、容易な導入と共に最大限の効果を発揮できるソリューションでもあったと考えております。
また運用面での課題であった、STP機能を使わない冗長ネットワーク構成の実現においては、Arista社の製品機能(MLAG:Multi-chassis Link Aggregation) を組み合わせ、マルチベンダーに渡り課題を解決する事が可能となっています。
今回の「Brocade8000/CNA」のご採用は、データセンターへの膨大なトラフィックをFCoE/DCB環境にて問題なく運用可能であることを実証するとともに、データ帯域の増大やシステム規模の拡大に備えたI/O統合に対する最適な技術をご選択頂けたものと確信しております。

■お客様情報
株式会社ビットアイル
所在地:東京都港区東新橋1-9-2 汐留住友ビル14F
設立:2000年6月14日
代表:代表取締役社長兼CEO 寺田航平
URL:http://www.bit-isle.co.jp/
(写真は第4データセンター)
株式会社ビットアイル 様

