なるほど!オールフラッシュアレイを徹底解明

オールフラッシュアレイPure Storageの魅力

エントリークラスでも機能性能は上位製品並み、「FlashArray //m10」の実力とは

イラスト

谷川耕一 - Koichi Tanikawa -

著者プロフィール/近況
実践Webメディア「EnterpriseZine」DB Online チーフキュレーター ブレインハーツ取締役。AI、エキスパートシステムが流行っていたころに開発エンジニアに。その後、雑誌の編集者を経て外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などを経験。現在はオープンシステム開発を主なターゲットにしたソフトハウスの経営とライターの二足の草鞋を履いている。

エントリークラスでも機能性能は上位製品並み、「FlashArray //m10」の実力とは

 

エントリークラスだけど十分なスペックのオールフラッシュアレイが登場

オールフラッシュアレイがかなりの市民権を得てきた。今後、新規導入の際はもちろん、既存ストレージの容量拡張や更新などでも、ストレージの導入は「オールフラッシュ・ファースト」で検討するのは当たり前となりつつある。現に実効容量であればオールフラッシュアレイもギガバイト単価はかなり下がっている。ディスクベースのストレージをコスト効率で凌ぐケースも出てきているのだ。

とはいえ、いざオールフラッシュのストレージを導入するとなると、中堅・中小規模の企業にとって決してコストの安いものではないかもしれない。オールフラッシュアレイはどちらかと言えばハイエンドな高性能モデルが中心のラインナップとなっているのも、その理由だろう。オールフラッシュアレイの良い評判を聞いても、なかなか手を出せずに躊躇している人もいるかもしれない。

そんな中、独立系フラッシュアレイ専業ベンダーのピュア・ストレージがかなり戦略的な新製品を発表した。従来もエントリーモデルとして位置づけられる「FlashArray //m20」というモデルがあったが、今回はそれよりもさらに安価な「//m10」を発表したのだ。

//m10は3Uサイズの筐体に物理容量で5テラバイト、あるいは10テラバイトのフラッシュストレージを搭載できる。圧縮や重複排除の効果で、実効容量(データ削減率 5:1)は最大で25テラバイト程度になる。エントリーモデルとはいえ、その性能は10万IOPSを発揮する。この//m10の価格が、なんと5万ドル未満(約500万円)なのだ。

おそらく多くの中堅・中小規模の企業では、25テラバイトというストレージ容量があれば既存のシステムでそれを使い切ることはないだろう。ハードディスクベースのストレージだと、多くの場合は物理容量の30%程度で運用することが多い。そのくらい空き容量がないと十分に性能を発揮できないからだ。データベースシステムなどの性能を確保するために、ディスク本数を増やしてI/Oを稼ぐこともある。そうなると、結果的にストレージ容量がかなり余っている環境も多いのだ。これではストレージの利用率が上がらないばかりか、スペースも消費電力量も増えてしまう。

一方でオールフラッシュのストレージは、搭載されているストレージ容量のぎりぎりまで利用しても性能は落ちない。むしろ80%、90%と容量いっぱいまで使うことこそが、オールフラッシュアレイを利用するメリットとも言えるのだ。

図1●FlashArray //mシリーズのエントリークラスとして登場した「FlashArray //m10」

FlashArray //mシリーズのエントリークラスとして登場した「FlashArray //m10

DBはもちろん、VDIにも最適。さらにミックスワークロードで使えるオールフラッシュ

今回発表された//m10は、具体的にはどんな用途で使うのがよいのだろうか。典型的な利用の1つが、VDI(Virtual Desktop Infrastructure)用のストレージだ。数100VDIの環境などでユーザーが朝一斉に環境を立ち上げる際には、ストレージにアクセスが集中し、それがボトルネックになる。そうならないように、VDIのリソースを見積もる際には1つの仮想環境ごとにディスクI/Oを最大で50 IOPS程度と想定することが多い。//m10であれば10万IOPSもあるので、1000VDIを超えるような環境であっても、まだ余裕がある。

//m10はFlashArray //mシリーズの中で、もっともエントリークラスの製品。しかしながら、機能的には上位の//m70などのモデルと基本的には同じだ。独自のストレージOSであるPurityにより提供しているインライン重複排除、圧縮、パターン除去機能、インライン暗号化機能などは、//m10でもそのまま利用可能である。そして、このインライン重複排除や圧縮の機能が、VDIで利用する際には容量削減に多いに役立つ。

//m10はおそらく数100から1000くらいのVDI環境を運用するのに最適なストレージだろう。1000VDI環境を動かしたとしても、容量的にも性能的にも、まだまだ余裕があるはずだ。そうなれば、さらにデータベースなどの別のワークロードを//m10に統合できる。むしろ「ミックスワークロード」での運用こそが、//m10の本領を発揮できるところだ。データベースを動かす際にも十分に性能があるので、基幹系のOLTPのワークロードとデータウェアハウスなどの情報系のワークロードを1つの筐体に同居させても問題にはならない。

1000名、2000名といった従業員規模の基幹系システムであれば、利用しているデータベースのストレージ容量はそれほど大きくないだろう。データ容量は大きくないのだが、複数のデータベースを1つのストレージに統合しようとすると、性能のネックが発生しかねない。それを回避するには、高価で高性能なストレージを用意する必要がある。そのような環境にはなかなか手が出ず、データベース集約を諦めていたということもあるかもしれない。

//m10は容量的にはエントリークラスだが、性能的には高性能なディスクベース・ストレージを越えるI/O性能がある。そのため容量的に統合ができるのなら、ワークロードの異なる複数データベースを//m10で統合できるだろう。場合によってはOLTPのシステムからデータウェアハウスを切り出さずとも、OLTPのデータベース上で情報系の処理を行っても性能的にはなんら問題ないかもしれない。

//m10ならオールフラッシュの世界を小さく始められる

今回の//m10は、機能的に上位モデルと同様なだけではない。//mシリーズで共通の、エンタープライズ用途に求められる“99.9999%を超える可用性”も提供している。またピュア・ストレージの特長のサポートモデルである、Evergreen Storageにも対応している。そのため3~5年といったサイクルでストレージを更新するような面倒は発生せず、何世代にもわたってシステムを再購入せずに使い続けることができる。

//m10は、ある意味、拡張性を犠牲にしたことで価格を安価に抑えていることになる。基本的な考え方としては、25テラバイトの実効容量を使い切るような使い方をするフラッシュストレージと言える。利用するデータ容量が増える可能性が最初からわかっているのであれば、//m20以上の上位モデルを選んでおいたほうが得策だ。

とはいえ、//m10を使っているうちにさらなる容量拡張をしたくなるかもしれない。その際は//m20以上の上位モデルのコントローラに有償アップグレードすることで、容量拡張も可能となる。//m10はオールフラッシュアレイが気にはなっていたけれど、なかなか手が出せなかったような人たちがオールフラッシュの世界を小さく始められる製品と言えそうだ。

メーカー別製品お問い合わせ先一覧はこちら

製品お問い合わせ一覧

お電話でのお問い合わせ0120-039-171