セキュリティ

DDoS攻撃への備えに、SIEMのDevoが果たす役割とは?

DDoS攻撃は、サービスの停止だけでなく、企業の信頼性やビジネスの継続性に深刻な影響を与える脅威です。従来のWAFや専用アプライアンスだけでは不十分な場合もあり、多層防御(Defense in Depth)が求められる現代のセキュリティ対策において、SIEM(Security Information and Event Management)が重要な役割を果たします。
本記事では、クラウドネイティブなSIEMであるDevoが、DDoS攻撃への備えとしてどのように「異常の早期検知」「迅速なインシデント対応」「攻撃後の分析」で貢献できるのかをご紹介します。可視化と分析による攻撃の兆候発見から、迅速な対応までのプロセスをDevoがどのように支援できるのかを解説します。

はじめに

2024年12月から2025年1月の年末年始にかけて、航空事業者・金融機関・通信事業者などを標的とした大規模なDDoS攻撃が相次いで発生しています。DDoS攻撃は、単なる一時的なサービス停止にとどまらず、企業の信頼性や事業継続性、さらには顧客満足度にも深刻な影響を及ぼすリスクがあります。こうした状況を受けて、内閣サイバーセキュリティセンターも各事業者に向けて適切なセキュリティ対策を促す注意喚起を発表しています(内閣サイバーセキュリティセンターの注意喚起はこちら)。

一般的なDDoS対策としては、WAFのSaaSサービスや専用アプライアンスの導入が主流です。しかし、攻撃手法の高度化や多様化が進む中で、これらの防御策と共に重要になるのが、「攻撃の兆候をいち早く検知し、迅速に対応する力」です。

本記事では、DDoS攻撃対策においてSIEM(Security Information and Event Management)が果たす役割、特にクラウドネイティブなSIEMであるDevoがどのように貢献できるのかについて解説します。

1. DDoS攻撃の対策ポイントとDevoの貢献領域

【1】DDoS攻撃による被害を抑えるための対策

  • 海外IPからの不審なアクセスの可視化
    DDoS攻撃の多くは、特定の地域や国から発生する傾向があります。Devoを活用することで、国や地域ごとのトラフィックを可視化し、不審なトラフィックを迅速に特定することが可能です。これにより、ファイアウォールやACLでのアクセス制御を効果的に実施できます。

図1 Unknownな国からのアクセスを抽出した例

  • 異常トラフィックのリアルタイム検知
    Devoは、大量のネットワークトラフィックデータをリアルタイムで分析し、通常とは異なる急激なトラフィックの増加や、特定のIPアドレスからの大量リクエストを即座に検知します。
    たとえば、UDPフラッドやHTTPフラッド攻撃の兆候をGUI上で簡単にアラートルールとして設定でき、異常が発生した瞬間に即座に通知が可能です。直感的な操作性により、セキュリティ運用担当者の負担も軽減します。

図1の状態をアラートする設定例。

● DDoS攻撃後の影響分析(フォレンジック調査)

DDoS攻撃が発生した後は、「どこから、どのくらいの量の攻撃が来たのか」を迅速に分析することが求められます。Devoで、膨大なログデータを高速に検索・分析することで、被害範囲や影響度の特定が可能です。これにより、被害拡大の防止や再発防止策の立案に役立ちます。

【2】DDoS攻撃による被害を想定した備え

● ダッシュボードによるDDoS攻撃の可視化

Devoのカスタムダッシュボードを活用することで、以下のような情報をリアルタイムで可視化できます。

  • トラフィック量の推移グラフ(平常時との比較)
  • 攻撃元IPアドレスのランキング表示
  • 国別トラフィックマップによる地理的分析

これにより、「どこで、どのような異常が発生しているのか」を直感的に把握でき、異常発生時の迅速な対応に繋がります。

● インシデント対応の迅速化(SOARとの連携)
DDoS攻撃の兆候が検知された際、Devoの自動化機能(SOAR連携)を活用することで、以下のような対応を自動化できます。

  • 関係者への即時通知(メール、Slackなど)
  • ルールベースの自動対処(更なるアクションを実行など)
  • インシデント発生時のログ保全と証拠保全

これにより、人的対応の遅れを最小限に抑え、迅速なインシデントレスポンスが可能となります。

2. まとめ

DDoS攻撃は、WAFのSaaSサービスや専用アプライアンスだけでは完全に防ぎきれないケースも多く、多層防御(Defense in Depth)が求められます。その中で、SIEMであるDevoは、以下のような形で貢献します。

  • 異常の早期発見: リアルタイムにアラートとダッシュボードで即時検知
  • 迅速な対応支援: SOAR連携によるインシデント対応の自動化
  • 攻撃後の可視化と分析: 高速なログ検索でフォレンジック調査を支援

DDoS対策の一環として、Devoを活用した可視化・分析・対応の強化を検討してみてはいかがでしょうか。Devoは、企業のセキュリティ運用をより強固で迅速なものへと進化させる力を持っています。

 

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