NGINX Plus R33 リリースについて
2024年11月19日に NGINX Plus Release 33 (R33) がリリースされましたので更新内容をまとめてみました。
こんにちは。 narai です。みなさん NGINX 使ってますか?
さて、2024年 11月 19日 に NGINX Plus の最新版 (R33) がリリースされましたので、追加された機能をまとめてみました。
なお、R33 には以下のライセンス関係の重要な変更が含まれております。
インストールやバージョンアップ前に準備が必要となりますので、ご注意ください。
ライセンス関係の重要な変更
- NGINX Plus インスタンスのライセンス検証機能が追加されました
- NGINX Plus インスタンスの使用状況をレポート送信する機能が追加されました
サポートOS について
NGINX Plus R33 でサポートされているディストリビューションは以下の通りです。
- AlmaLinux 8, 9
- Alpine Linux 3.17, 3.18, 3.19, 3.20
- Amazon Linux 2 LTS, 2023
- Debian 11, 12
- FreeBSD 13, 14
- Oracle Linux 8.1+, 9
- RHEL 8.1+, 9.0+
- Rocky Linux 8, 9
- SUSE Linux Enterprise Server 12, 15 SP5+
- Ubuntu 20.04 LTS, 22.04 LTS, 24.04 LTS
R32 からの変更点としては、Alpine Linux 3.20 がサポート対象となりました。一方で、CentOS や RHEL や Oracle Linux の 7.x がサポート対象となっております。
RedHat 系の 7.x をご利用されている場合、OS をバージョンアップしてから NGINX Plus をバージョンアップしていただけますようお願いいたします。
重要な変更点
NGINX Plus R33 の主な新機能と強化された機能は以下の通りです。
また、以下の機能は削除/廃止されますので、ご利用されている方はご注意ください。
- OpenTracing モジュール
R34 で削除される予定です。
メトリクス取得には OpenTelemetry モジュールをご利用ください。
その他の変更点につきましては、こちらをご確認ください。
ライセンス関係の重要な変更について
本バージョンアップより、以下の機能が追加されております。
- NGINX Plus インスタンスのライセンス検証機能
- NGINX Plus インスタンスの使用状況をレポート送信する機能
本ブログでは、機能の概要を記載いたします。
具体的な対応手順は、以下のメーカーマニュアルを参照してください。
https://docs.nginx.com/solutions/about-subscription-licenses/
NGINX Plus インスタンスのライセンス検証機能
R33 以降、NGINX Process の起動時にライセンスファイル(license.jwt)を確認するようになりました。
そのため、あらかじめ license.jwt ファイルを /etc/nginx
配下にコピーしておいてください。(※Linux OS の場合)
なお、license.jwt は Myf5 の Subscription からダウンロードすることができます。
# cat /etc/nginx/license.jwt
eyJhbGciOiJSUzUxMiIsInR5cCI6IkpXVCIsImtpZCI6InYxIiwiamt1
IjoiaHR0cHM6Ly9wcm9kdWN0LmFwaXMuZjUuY29tL2VlL3YxL2tleXMv
andrcyJ9.eyJzdWIiOiJGTkktZDU1ZWUwNTEtY2EyNC00YmZkLWFkOWY
tN2ZiNWUwY2FiM2U2IiwiaWF0IjoxNzMxMjkzMTIxLCJpc3MiOiJGNSB
<省略>
有効なライセンスが確認できない(以下を満たしている)場合、NGINX Process が立ち上がりませんのでご注意ください。
/etc/nginx/license.jwt
ファイルが存在しないlicense.jwt
ファイル内の有効期限から90日以上経過している
license.jwt
ファイル内の有効期限を超過した場合でも、90日間は影響ございませんので、この間に、license.jwt
ファイルを更新してください。
NGINX Plus インスタンスの使用状況をレポート送信する機能
定期的に NGINX Plus インスタンスの使用状況をレポートする機能が追加されました。
本機能は自動的に有効となり、NGINX Process が起動している限り、定期的にライセンスエンドポイント(product.connect.nginx.com)にレポートが送信されます。
そのため、あらかじめ NGINX Plus インスタンスからライセンスエンドポイントへ TCP 443 でアクセスできるようネットワークを構成してください。
なお、NGINX Plus インスタンスがインターネットへ抜けられない場合、NGINX Instance Manager にレポート送信するよう変更できます。
レポート送信ができない(以下を満たしている)場合、NGINX Plus インスタンスはトラフィックの処理を停止します。
- NGINX Plus インスタンス起動後、最初のレポート送信が失敗した場合
- 最初のレポート送信が成功した後、定期的なレポート送信に失敗してから 180日以上経過した場合
定期的なレポート送信が失敗した場合でも、180日以内に復旧(レポート送信が成功)すれば問題なく、この期間中 NGINX Plus を再起動してもトラフィック処理が停止することはございません
Stream Module での OCSP クライアント検証サポート
これまでは、http モジュールのみ対応していましたが、R33 から stream モジュールでも、クライアント証明書検証に OCSP を利用することができるようになりました。
合わせて、OCSP Stapling にも対応しました。
stream にて OCSP によるクライアント証明書認証を行う場合は、ssl_ocsp
および ssl_ocsp_responder
ディレクティブを使用します。
以下に設定のサンプルを記載します。
server {
listen 443 ssl;
server_name "";
ssl_protocols TLSv1 TLSv1.1 TLSv1.2 TLSv1.3;
ssl_certificate /etc/nginx/conf.d/ssl/server.crt;
ssl_certificate_key /etc/nginx/conf.d/ssl/server.key;
ssl_verify_client on;
ssl_client_certificate /etc/nginx/conf.d/ssl/ca.crt;
ssl_ocsp on;
ssl_ocsp_responder http://test-ocsp:8888;
proxy_pass backend;
}
NGINX Plus の公式コンテナイメージ公開
※ 本項目は R32 で追加された機能となります
F5 NGINX の Docker レジストリ(private-registry.nginx.com)に NGINX Plus のイメージファイルが公開されました。
これにより、DokcerFile を作成せずともイメージファイルを指定するだけで、NGINX Plus の Deploy が可能となりました。
オプションでは、NGINX Agent のインストールや特権ユーザー(root)を使用しない等を選択することができます。
具体的なデプロイ手順はこちらを参照ください
まとめ
重要なことなので何回も記載しますが、R33 ではライセンス関係の機能が追加されております。
そのため、インストールやバージョンアップする前に、
- インスタンスにライセンスファイルが存在しているか
- インスタンスからライセンスエンドポイントに通信できるか
を確認してください。
また、docker image を公式のリポジトリからダウンロードできるようになりましたので、ぜひ活用してみてください。
機能追加以外にも、バグ修正も含まれておりますので、ぜひ、R33 を使ってみてください。なお、利用の際はライセンス機能の2点について、ご確認をお忘れなく。
今回はここまでとなります。