SentinelOne Observo AIとは?
「Observo AI」は、AI SIEMやXDRの前段でログを収集・整形・削減・ルーティングするAIネイティブなデータパイプラインです。役割やユースケースをわかりやすく解説します。
Observo AIとは?
AI SIEM / XDR時代のセキュリティ運用を支えるAIネイティブなデータパイプライン
セキュリティ運用では今、EDR / XDR だけでなく、クラウド、ID、ネットワーク、SaaS、さらにはGenAIアプリまで、扱うログの種類と量が急増しています。
その一方で、従来のSIEMやログ基盤では、データ量ベース課金や高額なストレージ費用、複雑な取り込み設定、手作業の多い運用などが課題になりやすく、すべてのログをそのまま集め続けるやり方には限界が見え始めています。
こうした課題に対して注目されるのが、Observo AIです。
Observo AIは、SIEMやData Lakeの前段で動くAIネイティブなデータパイプラインです。
さまざまなログを受け取り、リアルタイムで整形・エンリッチ・削減・振り分けを行い、必要な形にして下流へ渡します。
一言でいえば、ログをただ集めるのではなく、使えるデータに変えてから届ける仕組みです。
Observo AIが担う4つの役割
Observo AIの役割は、大きく4つに分けられます。
1. 集める
エンドポイント、クラウド、ID、SaaS、ネットワークなど、さまざまなソースからデータを取り込みます。
ログの出どころが増えても、前段で集約することで、後続の分析基盤やSIEMへ渡す流れを整理しやすくなります。
2. 整える
取り込んだデータに対して、リアルタイムで整形やエンリッチを行います。
形式の異なるログを扱いやすい形にそろえたり、分類、相関、要約、PIIマスキングなどを加えたりすることで、下流で活用しやすいデータへ変換します。
OCSF、JSON、OTLP、Parquetといったオープンフォーマットに対応しているため、特定の製品や保存先に縛られにくい点も特長です。
3. 削る
ログは多ければ多いほど良いとは限りません。
実際には、ノイズや重複、重要度の低いデータがコストや運用負荷を押し上げる要因になります。
Observo AIは、こうした不要なデータを前段で減らし、下流に送るボリュームを抑えます。
必要なときにはフルフィデリティログを再展開できるため、普段は軽く運用しながら、調査時には深掘りすることも可能です。
4. 振り分ける
整えたデータは、AI SIEM、既存SIEM、Data Lake、他の分析基盤やクラウド環境などへ柔軟にルーティングできます。
どのデータをどこへ、どの粒度で送るかを前段で制御できるため、
「分析に必要なものだけをSIEMへ送る」
「長期保存向けのデータは低コストな保存先へ送る」
といった設計がしやすくなります。
どんな場面で役立つのか
Observo AIが特に力を発揮しやすいのは、次のような場面です。
SIEMの新規導入・移行・更新
SIEMの入れ替えや更新では、新旧環境の並行運用やログ形式の調整が負担になりがちです。
前段にObservo AIを置くことで、ログの正規化やルーティングを先に済ませられるため、移行時の負担を抑えやすくなります。
Data Lake活用と保存コストの最適化
すべてのログをホットストレージに長期間置き続けるのは、コスト面で現実的ではありません。
即時分析が必要なデータだけをAI SIEMへ送り、それ以外はData Lakeや低コストな保存先へ送ることで、保持要件と運用コストのバランスを取りやすくなります。
新しいツールの評価やPoC
すでに前段でログを集約していれば、新しい分析ツールやSIEMを試す際にも、宛先を追加するだけで評価を始めやすくなります。
ソース側や既存基盤を大きく触らずに、データパイプライン層で構成変更を吸収できるのは大きな利点です。
プライバシー配慮とデータガバナンス
ログを活用したい一方で、個人情報をそのまま広く流したくないという要件も増えています。
Observo AIは、取り込み直後の段階でPIIマスキングなどを行えるため、分析に必要な情報は活かしつつ、不要なセンシティブ情報の露出を抑えやすくなります。
SentinelOneプラットフォーム内での位置づけ
Singularity Data Lake と AI SIEM を支える前段エンジン
SentinelOne は、Data Lakeを核にした AI SIEM / XDR プラットフォーム を「Singularity」として展開しています。AI SIEMについての記事はこちら。
Observo AI はその前段に入り、
リアルタイムでのエンリッチ/フィルタリング/ルーティング
ポリシーベースのパイプライン制御を担うことで、インジェスト前のスマート化を実現します。
結果として、「どこからでもデータを取り込み → 転送中に賢くし → フルフィデリティで保存しつつ、運用時は軽く扱う」 というエンドツーエンドアーキテクチャが完成します。
つまり、AI SIEMそのものというよりは、AI SIEMをより活かすための前段基盤という位置づけです。
まとめ
Observo AIは、AI時代のSOCに向けたAIネイティブなデータパイプラインです。
ログをそのまま集めるのではなく、
集める、整える、削る、振り分ける
という流れを前段で担うことで、コスト、運用負荷、分析効率の改善を狙います。
AI SIEMやData Lakeの価値を引き出すうえで、これからのセキュリティ運用における重要なデータ基盤のひとつとして注目される存在です。

