生成AI

権限を変えずに、社内ナレッジをAIへ。Gleanが実現する安全な情報活用

Gleanが既存のACLやグループ、共有設定を活かし、権限体系を作り直さずに社内ナレッジを安全にAIへつなげる仕組みを解説します。ユーザーごとのアクセス権を検索やAI回答に反映する考え方と、導入時の確認ポイントを紹介します。

AI活用の第一歩は、権限を変えないこと

Gleanで実現する、安全な社内ナレッジ活用

概要

Gleanは、既存システムのACLやグループ、共有設定を尊重し、権限管理を大きく変えることなく社内ナレッジをAIにつなげます。本記事では、ユーザーごとのアクセス権をAIの検索・回答に反映する仕組みと、企業が安心してAI活用を始めるための考え方を紹介します。

生成AIを社内で活用したい。そう考えたとき、多くの企業が最初に直面するのが「どの情報を、誰に見せてよいのか」という課題です。

社内には、営業資料、製品仕様、プロジェクト資料、人事情報、契約書、過去の議事録など、さまざまなナレッジがあります。それらをAIにつなげれば、検索や問い合わせ対応、資料作成を大きく効率化できます。一方で、AIが本来見えてはいけない情報まで回答してしまうのではないかという懸念も無視できません。

この課題に対するGleanの基本的な考え方は、シンプルです。

AIのために、権限管理を最初から作り直さず、企業がこれまで運用してきた権限をそのまま活かす。

Gleanは、社内にある情報を一つの検索・AI体験につなぎながら、情報源側のアクセス権を尊重します。これにより、利便性とセキュリティを両立した社内ナレッジ活用を目指せます。

1. Gleanの権限継承とは

Gleanでは、接続したシステムに設定されているアクセス権をもとに、ユーザーごとに利用できる情報を判断します。文書単位・オブジェクト単位の権限、グループ、ロール、共有設定などをKnowledge Graphで扱い、検索、チャット、文書取得のそれぞれで権限を確認します。詳しくは公式ドキュメントの「MCP Security, Data Flow, and Permissions」をご覧ください。

たとえば、次のような既存の運用を考えてみます。

  • プロジェクトフォルダは、プロジェクトメンバーだけが閲覧できる
  • 人事関連の文書は、人事部門と関係する管理職だけが閲覧できる
  • 営業部門の提案資料は、営業組織のグループに共有されている

Gleanを導入したからといって、これらのルールをGlean用にすべて再設定する必要はありません。情報源側の権限が適切に設定されていれば、その権限を前提にGlean上で情報を検索・活用できます。

重要なのは、Gleanが接続元の権限を変更したり、上書きしたりするものではないという点です。Gleanのグループベース権限はGlean内のロールや機能アクセスを管理するものであり、コネクタ経由で取り込まれる情報については、引き続き情報源側のACLが尊重されます。詳細は「Group-based permissions」で確認できます。

2. 「権限をそのまま使える」ことが、AI導入を前に進める

AI導入が進まない理由の一つは、AIを導入する前に、社内データの権限を新しい仕組みへ移行しなければならないと思われていることです。

もちろん、情報源側の権限が不適切であれば、まずそこを整理する必要があります。しかし、Gleanの導入にあたって、既存のシステムごとに別の権限体系を設計し、全データに新しいラベルを付け直すことが前提になるわけではありません。

企業が日常的に行っている次の運用を、そのまま活かしやすいのがポイントです。

  • 入社・異動・退職に伴うグループやアカウントの更新
  • プロジェクトの開始・終了に伴うメンバー変更
  • 文書やフォルダの共有範囲の見直し
  • 情報システム部門によるロール・アクセス管理

つまり、Gleanのために権限管理を二重化するのではなく、既存の権限管理を正しく運用し、その結果をAI活用にもつなげていくという考え方です。

3. AIに社内ナレッジをつなげても、回答はユーザーごとに変わる

同じ質問をしても、ユーザーによって参照できる情報が異なることがあります。これは不具合ではなく、企業のアクセス権をAIの回答にも反映しているためです。

Gleanの権限認識型の検索・AIでは、ユーザーの アイデンティティとアクセス権に基づいて、検索結果や文書取得が行われます。ユーザーが本来アクセスできない情報を、AIが権限を超えて参照することはできません。また、GleanのMCPサーバーについても、基盤となるユーザーの権限を超えて特権を引き上げることはできないと説明されています。詳しくは「MCP Security, Data Flow, and Permissions」をご覧ください。

この仕組みによって、AIは単に社内データをまとめて回答するのではなく、「その人が見てよい社内ナレッジ」の範囲で回答します。

たとえば、営業担当者には営業資料や顧客対応履歴を、開発担当者には製品仕様や技術ドキュメントを、管理職にはチーム運営に必要な情報を届ける、といった使い分けが可能です。ユーザーごとにAIを作り分けるのではなく、既存の権限に応じてAIの参照範囲が自然に変わります。

4. 安全性は「AIだけ」ではなく、データ・権限・利用の全体で考える

社内AIの安全性を考えるとき、モデルの性能だけに注目するのは十分ではありません。重要なのは、次の三つを一体で管理することです。

データ

どのシステムの、どの情報をGleanにつなぐのか。不要な情報を取り込まないこと、古い情報や重複情報を整理することが、回答品質と安全性の土台になります。

権限

誰がどの情報を見られるのか。Gleanは接続元の権限を前提に情報を扱うため、既存のACLやグループ管理を適切に保つことが重要です。

AIの利用

どのユーザーがどのAI機能やエージェントを利用できるのか。Glean Protectは、厳格な権限適用やデータ保護を基盤とし、Protect+では機密コンテンツの継続的なスキャンやAIセキュリティ・ガードレールなどが追加されます。機能の詳細は「About Glean Protect and Protect+」にまとめられています。

このように、Gleanは「AIにすべてのデータを渡して判断させる」という発想ではありません。企業のデータと権限を理解した基盤の上で、必要な情報を、必要な人に、必要な範囲で届けることを目指します。

5. 導入時に見直すべきポイント

Gleanの導入を検討する際は、最初から全社の権限を作り替えるのではなく、次の順番で確認するのが現実的です。

  • まず、利用したい情報源とユースケースを決める
  • 次に、情報源側のACL・グループ・共有設定が最新かを確認する
  • そのうえで、Gleanに接続する範囲とユーザーを段階的に広げる
  • 利用状況や検索結果を見ながら、不要な公開状態の情報を見直す

この進め方なら、既存のIT運用や情報管理の仕組みを活かしながら、スモールスタートで効果を検証できます。

権限を守ることは、AI活用を止めることではない

AI導入では、「安全性を優先すると、使える情報が少なくなってしまうのではないか」と考えがちです。しかし、本当に重要なのは、AIのために安全性を後付けするのではなく、企業がすでに持っている権限管理をAIの動作に組み込むことです。

Gleanは、社内に分散したナレッジを横断的に活用できる環境を提供しながら、接続元で管理されている権限を尊重します。だからこそ、情報システム部門は既存のガバナンスを維持し、現場は必要な情報を探しやすくなり、経営層はAI活用を全社の生産性向上につなげやすくなります。

「権限を変えずに、ナレッジをつなぐ」。

それが、Gleanを使って安全に社内AIを始めるための、現実的な第一歩です。

導入に関するご相談は、Gleanお問い合わせフォーム からお問い合わせください。

参考情報

この記事に関連する製品・サービス