ホワイトペーパー
ビジネスを支える最も重要な経営資源と言われるデータが今後ますます増えていきます。
万一に備えたバックアップや、いざという時のリストアにおいて、これまでの考え方や方策が通用しなくなる側面が多々あり、いよいよもって新機軸が求められるようになってきました。
顧客の現場を支援し続けてきた東京エレクトロンデバイス(TED)は、世の中の変化や、今後の潮流をどのようにとらえているのかご紹介します。
ECサイトにおけるリコメンド表示、運転診断による保険料割引、産業機器の稼働状況把握による予知保全…。デジタルテクノロジーの進化と普及はビジネスシーンにも多大な影響をもたらし、従来は考えもしなかった斬新な事業モデルも続々と登場している。それらの背後にあるのが「データ」だ。顧客やモノ、お金の流れといったものを大量のデータで克明にとらえると共に、分析などの手法で洞察を得て、自分たちしか知り得ないことを「次の巧みな一手」に活かしているのである。それこそ正にビジネス価値であり、データ経営の真骨頂なのだが、何らかの事情やトラブルでデータが使えなくなった瞬間に競争優位がいっさい効かなくなるという脆さもまたはらんでいる。機会損失の時間が長引くほどビジネスに与えるダメージは甚大となる。データが事業の屋台骨であるならば、しっかりと支える、あるいは何かあった時には直ちに次善策を打てるような備えが持続的成長の要となる時代だ。こうした状況下、データの保全に関する考え方も、潮目が変わるタイミングにさしかかったと言えるだろう。
「貴重な経営資源としてのデータは増えゆくばかり。日頃からのバックアップはもちろんのこと、万一の時にいかに素早くデータをリストア(復元)できるかなどユーザーが考慮しておくべきポイントは確実に変わりつつあります」。こう話すのは東京エレクトロンデバイス(TED)の高橋敦志氏(CN営業本部コーポレートアカウント営業部 グループリーダー)だ。バックアップ用途のシステム構築支援など、この領域で多くの経験を積んできた同社は時代の変化をどう見ているのだろうか。
「まず、企業が取り扱うデータが急増していることを再認識しなければなりません」と強調するのは坂本洋朗氏(CN営業本部 Pure Storage製品担当)だ。同社はオールフラッシュストレージを手掛けるPure Storage社の製品をいち早く日本で取り扱ってきているが、その日本法人であるピュア・ストレージ・ジャパンが興味深いデータを公表しているという(図1)。
「日本企業における取り扱いデータ量は、2020 年に1.1PBだったものが2025年には3.8PBにまで達すると予測されています。ペタという単位の世界で、しかも3倍以上にもなるわけですから、今までの延長線上では通用しないことが多々出てくるはずです」(坂本氏)。データが増えることで、実際にどのような影響が考えられるだろうか。「当社はバックアップをテープで保管しているが、データ量の増加によって作業が時間内に終了しないという事が近い将来に起こりそうだ」「何か問題が発生した時に、本当にリカバリできるかどうか確証が持てずに漠然とした不安が募っている」──。これらは、実際にユーザーから聞こえてくる声であり、大きな変革期に差し掛かっていることを感じさせる発言だ。