Netskope Client の接続先 PoP を最適化する GSLB 機能とは?
本記事では、GSLB の仕組みとメリットをわかりやすく解説します。
はじめに
クラウドサービスのパフォーマンスを左右する重要な要素のひとつが、接続先 PoP(Point of Presence)の最適化です。
Netskope では、GSLB(Global Server Load Balancing)機能を活用することで、障害や遅延の影響を最小限に抑えています。
本記事では、GSLB の仕組みとメリットをわかりやすく解説します。
なぜ GSLB が必要なのか?
2025年9月、紅海で複数の海底ケーブルが切断され、国際通信に大きな影響が出ました。
この海域はアジア・中東・ヨーロッパを結ぶ重要な通信ルートであり、障害はクラウドサービスや金融取引、ビデオ会議などに直結します。
実際、UAEやインドでは通信速度の低下や接続不良が発生し、Microsoft Azure などのクラウドサービスでも遅延が報告されました。
Netskope も影響を受けましたが、GSLB 機能によりユーザートラフィックを近隣の PoP にルーティングすることで、影響を最小限に抑えています。
GTM(Global Traffic Management)とは?
GSLB を理解する前に、従来の GTM(Global Traffic Management) について簡単に説明します。
-
仕組み
Netskope Client は、Google DNS に対して DoH(DNS over HTTPS) でクエリを送信し、クライアントの IP アドレスを基に地域を判断します。
その結果、最寄りの Netskope PoP に接続します。 -
課題
- Google DNS へのアクセスがブロックされている場合、GTM による PoP 接続が利用ができない
- クライアント IP 情報が正しく取得できない場合、地理的に遠い PoP に接続される可能性がある
- 中国では *.cn ドメイン以外の名前解決ができず、地理的に遠い PoP に接続される可能性がある
GSLB(Global Server Load Balancing)とは?
これらの課題を解決するために、R96 で GSLB 機能がリリースされました。
GSLB は DNS ベースではなく、ラウンドトリップタイム(RTT)を計測して最適な PoP を選択します。
仕組み
- GSLB サービスが送信元 IP から地域を判別
- 地理的に近い 10 個の PoP を選定
- 各 PoP との RTT を計測
- 計測結果を GSLB サービスに通知
- 最適な PoP を応答し、クライアントが接続
※ メンテナンスや障害中の PoP は Netskope 側でリストから除外されるため、ユーザー側での操作は不要です。
NPA(Netskope Private Access)でのサポート
Netskope の ZTNA ソリューション Netskope One Private Access でも GSLB をサポートしています。
これにより、クライアントと Publisher の接続先 PoP も最適化されます。
GSLB が利用できない場合
- GSLB が利用できない場合 → GTM にフォールバック
- GTM も利用できない場合 → DNS サーバーのグローバル IP に基づき PoP を選択
まとめ
GSLB 機能により、障害や遅延に強い接続を実現することが可能です。
ご利用のテナントで GSLB が有効化されているかについては、リセラー様へお問い合わせください。


