NGINX Plus をコンテナ環境で使う事について考えてみた
NGINXのコンテナイメージはwebサーバーとしてよく利用されるかと思いますが、それだけではありません。
今回は、コンテナ環境における「トラフィック管理」としてのNGINXについて紹介します。
みなさん、こんにちは。naraiです。
最近、お客様との会話の中でもコンテナ技術についての話題になることがあるため、コンテナ技術におけるNGINX Plusの優位点について考えてみました。
また、NGINX には様々な機能があるため、今回は「トラフィック管理とスケーリング」に焦点を当てて見ていきたいと思います。
最初から結論になりますが、トラフィック管理とスケーリングにおける NGINXの優位点は、以下の点となります。
- 負荷分散
- サービスディスカバリ
- NGINX Plusのスケーラビリティ
- セキュリティの確保
これらについて、詳しく見ていきましょう。
負荷分散
コンテナ化されたアプリケーションは、マイクロサービスとして連携していたり、新バージョン公開のために新旧のコンテナが混在したりと、複数のコンテナから構成されることがほとんどです。 そのため、存在しているサーバー(コンテナ)に対して単純に負荷分散できればよいというものではなく、複雑なトラフィック管理が必要となります。 例えば、コンテナアプリケーションのデプロイで良く利用されるA/Bテストやカナリーリリースなんかも、ngx_http_split_clients_module(デフォルトでNIGNX Plusに含まれる)を利用することでどんな環境でも実現させることができるようになります。 これにより、NGINX Plusはこの複雑性を管理し適切なコンテナに効率的に分散させることが可能です。
サービスディスカバリ
アプリケーションを提供しているコンテナは動的であり、状況に応じて作成されたり削除されたりしています。そのため、負荷分散先をIPアドレスで指定することはなく、サービスディスカバリ(※)を使うのが一般的となります。 NGINX Plusでは、サービスディスカバリにDNSの名前解決を使用することができ、コンテナのスケールアウトやスケールインに動的に追従することが可能となります。 また、SRVレコードを使用することで、IPアドレスだけでなくPort番号も動的に取得することが可能です。 これにより、スムーズなスケーリングとサービスの継続性を保証します。
※サービスディスカバリ
ドメイン名などのサービス識別子からIPアドレスなどの実サーバー情報を動的に取得すること。 DNS の名前解決によりドメイン名からIPアドレスの情報を取得する DNS サービスディスカバリが一般的 [サービスディスカバリ (wiki)](https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%93%E3%82%B9%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%82%AB%E3%83%90%E3%83%AA)
NGINX Plusのスケーラビリティ
元々、NGINXは「軽量、高速、安定」をコンセプトに設計されているため、コンテナの限られたリソースでも高いパフォーマンスを提供できます。 また、NGINX Plus自体のイメージサイズも少ないのでスケールアウト等で作成されるコンテナをすぐに利用することができ、スケーラビリティの効果を最大限に発揮できます。
セキュリティの確保
コンテナ環境において、セキュリティは頭を悩ませる問題の一つかと思います。 ただ、NGINX PlusにはApp Protect WAFというWAFモジュールがあり、簡単にWAFを追加できます。 また、このWAFモジュールを適用した場合でも「軽量、高速、安定」というNGINX Plusの利点を損なわずに利用することができます。
まとめ
このように、コンテナ環境では、効率的なトラフィック管理、セキュリティの確保、そして動的なスケーリングが不可欠です。NGINX Plusはこれらの課題に対処し、アプリケーションのパフォーマンスと信頼性を最適化するための強力なソリューションを提供します。 コンテナ環境の利用や移行を考える際、サーバー利用だけでなくトラフィック管理としてのNGINX Plusを思い出していただければ幸いです。