イベント雑記

JANOG 56 参加レポート:技術と人を結ぶ“縁”のネットワーク

JANOG 56 は島根県松江市で開催されました。実は松江は私にとって特別な場所です。父の実家があり、子どもの頃は毎年夏休みに祖父母の家へ帰省していました。そんな松江に仕事で訪れるのは初めてで、JANOGのテーマも【縁】
色んな縁を感じつつ、このテーマに後押しされ、普段より積極的に会話できたことで、多くの方とつながりを持つことが出来ました。たくさんの【縁】を感じた参加レポートをお届けします。

JANOG前に松江データセンターを見学

開催前に、抽選で当選した松江データセンター(DC)の見学に参加しました。
「なぜ松江にDC?」に関しては、行政によるIT産業振興と、都心部から離れた場所の重要性にあります。ブログに書ける範囲は限られていますが、一部をご紹介します。

私自身、BIG-IPの構築や障害対応で多くのDCを訪問してきましたが、コンテナ型のDCは今回が初めてでした。現地では、IIJさんのHPにも掲載されているカーボンニュートラル実現に向けた取り組みとして、外気冷却コンテナユニットを採用していることを教えていただきました。

Interop に参加した際にも感じたのですが、近年 DC関連の展示が急増しています。AI時代に対応するため、エネルギーの未来設計が進んでおり、特に冷却技術では液浸冷却が目立ちました。
この点については「既存のDCでは液浸冷却を前提に設計されていないため、時流に乗って急に導入するのは難しい」というリアルな声を伺うことができました。液漏れはハードウェアに致命的な損害を与えるため、漏れない仕組みや、万一漏れた場合の被害最小化など、現場での工夫が必要とのことでした。現在のトレンドと現場の実情とのギャップを認識できたのは、非常に貴重な体験でした。

地域とDCが連携し、ロールモデルを目指すというメッセージは、松江にゆかりのある私にとっても胸に響きました。現場に出る機会は減ってきましたが、ハードウェアを保守する立場として現場で得られるリアルな知見や感覚は、業務を支える大切な要素だと改めて実感しました。


いよいよJANOG本編!


まず、JANOGについては、過去ブログを参照ください。
JANOG55 参加レポート

当社は前回のJANOG 55 に続き、Wizをメインにブース出展しました。
Wizについては、当社HPや過去のブログでも紹介していますので、ぜひご覧ください。
Wiz CNAPP | 東京エレクトロンデバイス株式会社
Google買収騒動により一躍脚光を浴びたクラウドのセキュリティソリューションWiz(ウィズ)とは何者か?

また、担当プロダクトでもあるF5ブースでは F5 Distributed Cloud Services (通称、F5 XC)を中心に、WAAP、DNS、NaaSといったソリューションが紹介されておりました。

AI時代、APIは企業のサービスを支える重要な基盤となりましたが、その一方でAPIを狙った攻撃や不正利用も増加しています。

「うちは大丈夫」という思い込みは危険です。

F5 XCでは、TLS相互認証やDDoS対策、WAF、Bot対策、アクセス制御などを統合し、APIセキュリティを包括的に強化します。さらに、脆弱性診断やペネトレーションテストも自動化し、設計から運用まで一貫したセキュリティを実現します。
また、複雑化するネットワーク運用に関しては、アプリケーション公開や通信制御、デプロイを共通コンソールで一元管理します。これにより、設定やセキュリティ管理に追われる時間を減らし、エンジニアが本来の業務、つまり”新しい価値を生み出す仕事“に集中できる環境を提供します。

日々F5製品には触れていますが、今回の展示を通じて、クラウドやアプリケーションセキュリティにおけるF5の進化を改めて体系的に整理できました。
これらは今後のIT基盤に欠かせないテーマですので、今後のサポートに活かしていきます。


印象に残った講演

今回も多くの講演がありましたが、特に印象に残ったのはこの2つです。

1. 2024〜2025年末年始にDDoSと戦った人の交換会リターンズ

Akamai Technologies 田島 弘隆 氏による本講演は、非常にわかりやすく、人を惹きつける講演でした。特に印象的だったのは「ヘルシーなインターネット」という言葉です。単に攻撃を防ぐだけでなく、持続可能で健全なネットワーク環境を維持するという視点は、私たちサポートエンジニアが日々取り組むべきテーマだと感じました。

本講演では、年末年始に発生した大規模DDoS攻撃の実態や、L4・L7両層での攻撃、送信元・送信先が世界中に分散する複雑さ、そして大規模なトラブルにおける迅速なエスカレーション体制構築の難しさが共有されました。

この講演を通じて、どの企業も同じような課題を抱えていることを改めて認識しました。こうした課題やDDoS対策の考え方については、以前の当社のブログでも取り上げておりますので、是非こちらもあわせてご覧ください。
2024年末に話題になったDDoS攻撃、その対策を今こそ考える

JANOGの魅力はこうした第一線で活躍されている人がリアルな経験やマネジメント体制まで共有してくれる点にあります。Akamaiという大きな企業が、現場での対応や課題をオープンに語ってくれるのは本当に貴重で、参加者にとって大きな学びになったと感じています。

2.ただものだんだん、NOC茶会! 〜せっつい故障も今日は一服 ご縁で開く運用の未来〜

この講演はオフレコプログラム扱いのため、資料や動画の公開はなく、情報共有も禁止されていますので、中身について詳しくは書けませんが、24時間365日の待機対応を経験したことがある私にとって、障害対応のジンクスやNOCに関する“ぶっちゃけ話”が飛び交う時間は、非常に興味深いものでした。

インフラエンジニア同士が、リアルな課題や経験を共有できる場は貴重です。こうした率直な議論や共感の時間は、日々の業務に活力を与えてくれるだけでなく、時には辛い局面を乗り越える力にもなります。まさに「これぞJANOG!」という雰囲気でした。


まとめ

私が考えるJANOGの魅力は、Interopのような大規模展示会とは違い、インフラ寄りのエンジニアが「インターネットを良くしていこう」という志で集まっており、競合関係を超えてフラットに情報交換できる雰囲気です。今回も、その心地よさを改めて実感しました。
たとえば、たまたまお話しした方が、過去に当社のヘルプデスクにお問い合わせいただいた経験があったり、AI系のブースでご一緒した方が実はVIPRIONの導入経験をお持ちだったりと、思いがけないつながりがいくつも生まれました。さらに、今回のJANOGでお話ししたお客様から、後日訪問の機会をいただくこともできました。

こうした偶然の出会いは、まさに今回のテーマである【縁】を象徴しています。JANOGは、技術だけでなく、人と人とのつながりを深める場であり、その価値を改めて感じることができました。

次回のJANOG 57は、2026年2月に大阪で開催されます。当社も出展を予定していますので、ぜひ会場でお会いしましょう。お互いの知見を共有し、高め合える場にできればと思います!

最後に、今回の素晴らしいイベントをホストいただいたIIJ様に心より感謝申し上げます。

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