NGINX Plus R34 リリースについて

2025年4月3日に NGINX Plus Release 34 (R34) がリリースされましたので更新内容をまとめてみました。
こんにちは。 narai です。みなさん NGINX 使ってますか?
さて、2025年 4月 3日 に NGINX Plus の最新版 (R34) がリリースされましたので、追加された機能をまとめてみました。
サポートOS について
NGINX Plus R34 でサポートされているディストリビューションは以下の通りです。
- AlmaLinux 8, 9
- Alpine Linux 3.18, 3.19, 3.20, 3.21
- Amazon Linux 2 LTS, 2023
- Debian 11, 12
- FreeBSD 13, 14
- Oracle Linux 8.1+, 9
- RHEL 8.1+, 9.0+
- Rocky Linux 8, 9
- SUSE Linux Enterprise Server 15 SP5+
- Ubuntu 20.04 LTS, 22.04 LTS, 24.04 LTS
R33 からの変更点としては、Alpine Linux 3.21 がサポート対象となりました。一方で、Alpine Linux 3.17 , SESU 12 がサポート対象外となっております。
また、次期バージョン(R35) で Alpine Linux 3.18 , ubuntu20.04 がサポート対象外となりますので注意してください。
特に、ubuntu をご利用されている方は、現在のバージョンを一度ご確認いただけますようお願いいたします。
重要な変更点
NGINX Plus R34 の主な新機能と強化された機能は以下の通りです。
また、以下の機能は削除/廃止されますので、ご利用されている方はご注意ください。
- OpenTracing モジュール
R34 で削除される予定です。
メトリクス取得には OpenTelemetry モジュールをご利用ください。
その他の変更点につきましては、こちらをご確認ください。
NGINX 使用状況レポートのフォワードプロキシサポート
R33 で追加された、NGINX の使用状況レポートの送信について、R34 ではプロキシ経由で送信できる機能が追加されました。
以下のように mgmt block に proxy ディレクティブを設定することでプロキシ経由で使用状況レポートを送信できます。
mgmt {
proxy HOST:PORT;
proxy_username USER; #optional
proxy_password PASS; #optional
}
詳細はこちらをご確認ください。
OpenID Connect 構成のネイティブサポート
OpenID Connect(OIDC) に対応したモジュール(nginx_http_oidc_module)が導入されました。
これにより、今まで njs ベースのスクリプトで実装していたものが、nginx.conf だけで完結するようになり、導入、運用が簡素化されました。
設定内容としては、以下のように oidc_provider
ブロックで IdP の設定を行い、認証をかけたい場所で auth_oidc
ディレクティブを設定する形となります。
より詳細な内容は別途 blog にしますが、見ての通り設定は非常にシンプルであるため、OIDC に精通している必要はなく非常に簡単に導入できます。
http {
resolver 10.0.0.1;
oidc_provider my_idp {
issuer "https://provider.domain";
client_id "unique_id";
client_secret "unique_secret";
}
server {
location / {
auth_oidc my_idp;
proxy_set_header username $oidc_claim_sub;
proxy_pass http://backend;
}
}
}
NGINX の設定読み込みが早くなりました
NGINX では起動時や reload 時の設定の読み込みが発生しますが、メーカー調査で SSL 関連の読み込みがボトルネックになっているケースが多いことがわかりました。
そのため、R34 では SSL の秘密鍵や証明書の読み込み方法が改善されております。
これにより、NGINX 起動時や設定の再読み込みが高速化されました。
まとめ
R34 では OpenID Connect にネイティブサポートしたことが大きな追加となっております。
これにより、NGINX を SP とした SSO の導入のハードルが下がり、きめ細かなポリシーとより厳格なセキュリティ境界をすべてのアプリケーションに適用できるようになりました。
アジャイル開発によりアプリケーションがマイクロサービス化していく中、認証機能をアプリからオフロードして NGINX に任せることで、よりスピード感のあるビジネス展開が可能になるのではないでしょうか。
ぜひ、NGINX Plus R34 を活用してみてください。
また、nginx_http_oidc_module
の具体的な内容については、別途 Blog で紹介いたしますので、そちらも楽しみにしていてください。
今回はここまでとなります。