CSAレポートが警鐘を鳴らす──見逃されがちなSaaSセキュリティの盲点とSSPMの重要性
クラウドセキュリティの専門機関CSAの最新レポートが、SaaS環境に潜む“見えないリスク”の深刻さを浮き彫りにしました。本記事では、その実態と、対策の選択肢として注目が高まるSSPMという考え方をご紹介します。
SaaSの利用拡大とともに潜む「安心の落とし穴」
テレワークや業務のクラウド化が進むなかで、SaaS(Software as a Service)は多くの企業にとって欠かせない存在となりました。Microsoft 365、Google Workspace、Salesforce──日々の業務における利便性の高さは言うまでもありません。
しかし、「セキュリティはクラウドベンダー側で保証されている」という認識が、思わぬ盲点につながることもあります。
CSAレポートが示す、SaaSセキュリティの“実態”
クラウドセキュリティの国際的な非営利団体 Cloud Security Alliance(CSA)は、SaaSセキュリティの実態と今後の展望をまとめた最新レポート『The State of SaaS Security: Trends and Insights for 2025–2026』を発表しました。
このレポートでは、世界中のIT・セキュリティ担当者420名を対象とした調査結果がもとになっており、次のような課題が明らかにされています:
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設定ミスや誤共有による情報漏えいリスク
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可視化されていないSaaS間連携(いわゆるシャドーIT)
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APIキーやボットアカウントなど“非人間ID(NHI)”の急増と管理困難
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責任分担の不明確さによる、属人的なセキュリティ運用
いずれも、「見えない」「気づかない」ことに起因するリスクであり、従来のセキュリティ対策ではカバーしきれない領域が存在することを示しています。
目に見えないリスクに対抗するためのSSPMという考え方
このような課題に対応するために注目されているのが、SSPM(SaaS Security Posture Management)というアプローチです。
SSPMは、SaaSアプリケーションの設定状況、アクセス権限、外部との連携といった要素を横断的に可視化し、継続的に監視・修正する枠組みです。ポイントは、特定のSaaSだけでなく、複数のサービスを一貫して管理できるという点にあります。
こうした「全体最適」の視点が、今後のSaaSセキュリティには欠かせません。
SaaS環境の可視化と管理を支援するツールの役割
SSPMの重要性が高まるなかで、こうしたアプローチを実現するツールとして、当社ではValenceというSaaSセキュリティ特化型のSSPMソリューションをご提供しています。
Valenceは、次のようなリスクの兆候を可視化し、組織のセキュリティ運用を支援します:
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共有リンクの過剰公開(例:社外アクセス可・期限なし共有など)
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未知または不要な外部アプリとの連携
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一部ユーザーへの過剰な権限付与(例:全社員が編集権限を持つ共有ファイル)
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APIキーやサービスアカウント(アプリ連携用の自動実行アカウント)による設定変更の影響範囲の可視化
人手で管理しきれない構成の変化や、見えにくい連携・権限の異常も事前に把握でき、迅速かつ的確な対応を実現します。
SaaSセキュリティを見直すなら、まず“現状把握”から
SaaSは導入すれば終わりではなく、いかに安全に“運用”するかが問われる時代に入っています。
CSAのレポートが示すように、リスクは「見えていないこと」にこそ潜んでいます。
まずは、自社のSaaS環境がどのように構成され、どこにリスクがあるのか──そこを正しく把握するところから始めてみませんか?
参考リンク
The State of SaaS Security: Trends and Insights for 2025–2026(CSA公式レポート)
※英語版レポートとなります。



