ソリューション

AristaのPrecision Time Protocol (PTP)

放送機器のIP化などで必須となる高精度な時刻同期を実現します。

イントロダクション

イーサネットを利用する機器数と高精度な時刻を得る必要のある機器数は、年々増加しています。これらの機器数増加に伴い、NTPのように機器が時刻を得る手段としてPTP(Precision Time Protocol)が様々な業界で注目されはじめています。PTPが注目されている理由は、極めて高精度は時刻同期が求められるシステムが増加しているためです。例えば金融取引(高頻度取引(High frequency trading)、MiFID)、放送業界におけるIPベース移行(スタジオIP化、4K/8K放送)、LTEの携帯キャリア網などがあげられます。 イーサネットでPTPを使用するにあたり、ネットワーク機器もPTP対応である必要があります。

 

PTPにおける登場人物

PTPによる時刻同期を行う登場人物として、Grandmaster Clock(GPS等と時刻同期を行い下記のPTP Slave機器と同期するPTPサーバー)、Slave側にはPTPを中継するBoundary ClockやTransparent Clock、最終的に時刻を受け取りたいスレーブ(サーバーやカメラ等)があります。

 

様々なPTP対応スイッチ

ネットワーク機器のデータシートにPTP対応と記載されていても、求めているPTP機能や性能が出るとは限りません。 ネットワーク機器におけるPTP機能選定のポイントは、第一に対応プロファイルが挙げられます。PTPはNTPのように標準化が一本化されていないため、 様々な標準化団体ごとにプロファイルが区別されます。 基本となるのはIEEEのDefaultプロファイル(IEEE1588-2008)です。各業界のプロファイルも基本はIEEE1588-2008をベースに、拡張部分が成されています。PTPには方言があるということです。 例えばIEEEは様々なアプリケーションで広く普及し、ITU-Tはテレコム業界で普及、テレビ技術者協会のSMPTEは放送業界で普及しています。どこでPTPを使うかでネットワーク機器の対応可否には気をつける必要があります。

 

高精度時刻同期をするためにはハードウェアでPTPをサポートが必須

PTPを使うだけであればネットワーク機器でPTPをサポートしている必要はありません。汎用サーバーでPTPプロセスを動かせば済みます。ただ、それでは高精度な時刻同期は実現できません。ハードウェアでサポートしている必要があります。ハードウェアでサポートしているネットワーク機器は、今となっては複数メーカーから販売されていますが、時刻同期性能はまちまちです。求めている時刻同期性能が出るのか、導入前評価検証を実施されることを推奨します。

 

AristaがサポートするPTPプロファイル

Aristaスイッチは、広く成功を収めている製品ですが、昨今はインターネットフルルート(FlexRoute機能)、DWDM、ネットワークパケットブローカ(TAPアグリゲーション機能)等、特定のメーカー且つ特定の機種でしか対応していなかった分野でも、同じハードウェア、同じOSのスイッチで対応できます。PTPもその中の1つです。PTPは高頻度取引の遅延測定に用いられ、構成するネットワークスイッチもPTPをサポートしている必要がありました。 AristaはPTPをサポートし、ポートが高密度で低遅延スイッチを販売開始したことにより、証券取引等系のシステムで広く普及しました。 なお、AristaがサポートするPTPプロファイルは以下の通りです。 ・IEEE1588 PTP ・ SMPTE-2059-2 デフォルトのIEEE1588のみならず、放送業界で普及しているSMPTEもサポートしています。Aristaは既に映像・放送分野でも活躍しているメーカーです。  

 

PTPサポート機種

PTPをサポートしている機種は以下の図と表の通りです。 これらの製品はPTPのみならず、低遅延・ディープバッファ・VXLAN要件がある構成にて実績のある製品です。  

Arista_PTPサポート機種 Arista_PTP_シリーズ名

最低限必要なPTPの設定

      PTP Boundary Clock # マスタークロックと同期するモード。 細かいパラメータの調整は必要となると考えますが、最低限設定すべき事項は、PTPのモードと各インターフェースごとにPTPを有効化するのみです。 7150S(config)#ptp mode ? boundary          Boundary Clock Mode disabled            Disable PTP and forward PTP messages normally 7150S(config)#interface ethernet 1 7150S(config-if-Et1)#ptp enable  P Transparent Mode

Transparent Modeの設定はよりシンプルで、遅延時間の測定にE2EかP2Pを設定するのみです。 # マスタークロックと同期させないモード switch(config)#ptp mode e2etransparent PTPパケットの転送時間を監視し、スイッチ内のパケット滞留時間を測定し、その補正値をFollowe up メッセージに加えます。スレーブはこれをオフセットの計算に使います。
  switch(config)#ptp mode p2ptransparent E2Eと同じく滞留時間とPeer Delayメーカーニズムで測定した上流リンクのパス遅延の遅延時間をFollow upメッセージに加えます。スレーブはこれらをオフセットの計算に使います。なお、遅延時間の計測を各ピア間で行うため、通信経路が切り替わっても時刻同期のずれが起きにくい方式です(即座にオフセットを知ることができる)。  

switch(config)#ptp mode p2ptransparent

 

E2Eと同じく滞留時間とPeer Delayメーカーニズムで測定した上流リンクのパス遅延の遅延時間をFollow upメッセージに加えます。スレーブはこれらをオフセットの計算に使います。なお、遅延時間の計測を各ピア間で行うため、通信経路が切り替わっても時刻同期のずれが起きにくい方式です(即座にオフセットを知ることができる)。

  Arista のPTP 対応製品は以下を提供します。

  • IEEE1588v2とSMPTE/AESのプロファイルをサポート
  • 高精度時刻同期が可能なハードウェア
  • 最低限必要なPTPの設定が非常にシンプル

参考・抜粋文献

・セイコーの「うるう秒」対策(第5回) マーケットと時刻同期 http://www.seiko-sol.co.jp/leap-second/no-05/ ・Arista Precision Timing Protocol https://www.arista.com/assets/data/pdf/Whitepapers/Technical_Solution_Guide___Precision_Time_Protocol.pdf

導入事例