導入事例

さくらインターネット株式会社 様

情報・通信

「Arista 7050T」シリーズで10GbE化
VPSサービスの競争力強化を実現

お客様の課題

  • VPSサービスのネットワーク帯域不足の解消
  • スイッチ台数増加に伴う運用負荷の増大
  • 将来のSDN対応を見据えたインフラ整備

TEDのソリューション

  • 専用在庫による短納期への対応
  • 徹底した出荷前検査による初期不良の解消
  • 検証機の迅速な手配や技術情報の提供
加藤 直人 氏

開発部 開発第一チーム
マネージャー
加藤 直人 氏

池田 克之 氏

新規事業室
池田 克之 氏

上山 純一 氏

開発部 開発第一チーム
上山 純一 氏

さくらインターネット株式会社はVPS(仮想専用サーバー)サービスにおいて、ネットワークの帯域不足を解消するため、スイッチの10GbE化に取り組みました。東京エレクトロンデバイスの支援のもと、コストパフォーマンスや低遅延性などから、アリスタネットワークス(以下、アリスタ社)の10GbEスイッチ「Arista 7050T」シリーズを採用。ボトルネック解消に加え、機器台数を約1/6に削減、さらに将来的なSDN導入にも対応可能となり、VPSサービスのインフラ最適化と競争力強化を実現しました。

VPSサービスの帯域不足で仮想サーバーの移動などに弊害

ホスティング・ハウジングをはじめとするさまざまな高品質サービスの提供によって、日本のインターネット発展に黎明期から貢献しているさくらインターネット株式会社(以下、さくらインターネット)。2011年11月には、日本最大級のデータセンターである「石狩データセンター」を開所しました。北海道の冷涼な気候を100%活かした外気冷房によって、エネルギー効率を向上するなど、先進的な取り組みを進めています。
同社は現在、VPS(仮想専用サーバー)サービス「さくらのVPS」を提供しています。優れたコストパフォーマンス、直感的に操作できるコントロールパネルなどによって、ユーザーから高い評価を得ています。
同サービス基盤のインフラを担うキーデバイスの一つがスイッチです。グローバル側とローカル側それぞれに、従来は1GbEのスイッチを用いてネットワークを構成していましたが、いくつかの課題が散見されていました。

「お客様が増えるにしたがい、帯域不足に悩まされるようになりました。特にLAN側では、たとえば容量100GBの仮想サーバーが物理マシン間を移動するのに、2~3時間も要していました。しかも、バックアップも多くの時間がかかるなど、スイッチのボトルネック化によって、サービス品質低下の懸念が増えつつありました」(加藤氏)

他にも、サービス拡大に比例してスイッチの台数も増えてきた結果、運用管理負荷が増大していたことも課題でした。また、サービス料金低価格化の一環として、スイッチの調達・運用コスト削減は永続的な課題であり、さらに推進する必要もありました。

低価格・低遅延やオープン性などから「Arista 7050T」シリーズを採用

2012年春、さくらインターネットはそれらの課題を解決すべく、10GbEスイッチの導入に取りかかりました。複数製品を比較検討した結果、アリスタ社の10Gigabitイーサネットスイッチ「Arista 7050T」シリーズを採用するに至りました。

「選定理由は、まずは低価格・低遅延である点です。汎用チップやUNIX系OSを使っているなど、オープンなアーキテクチャにも好感を抱きました。加えて、信頼性の高さですね。これまで日本国内で約1000台導入実績があると聞いておりますが、1台も故障していないという実績も魅力でした」(池田氏)

「コストパフォーマンスは比較した他製品の追随を許さないほどでした。その上、近い将来導入を予定しているSDN(Software Defined Networking)に、素早く対応できるところもポイントでしたね」(上山氏)

さくらインターネットは今回、「Arista 7050T」シリーズを東京エレクトロンデバイスの支援のもとに導入しました。

「私たちの短納期への要望に対応するため、東京エレクトロンデバイスは当社専用在庫を持ってくれました。一般的に海外ベンダー製機器は調達に1ヶ月以上を要しますが、専用在庫のおかげで3日ほどで済みます。突発的にスイッチの増強が求められた際などに心強いですね。また、ベンダーとのパイプが太く、アリスタ米国本社から技術情報を素早く提供してくれます」(池田氏)

「東京エレクトロンデバイスは出荷前検査をしっかり実施してくれるので安心できますね。機器が到着してから不良品と判明すると、少なくない時間と手間をロスしてしまいますから」(加藤氏)

10倍の帯域でボトルネック解消、スイッチ台数を1/6以下に削減

同社は2012年9月、石狩データセンターにて、「Arista 7050T」シリーズを6台用いてネットワークを構築しました。MLAG(Multi chassis link aggregation)機能によるSTPを排除した冗長化などを活かしつつ、構築は約1週間で完了。カットオーバー後も、ユーザー増などに応じて、20台弱まで増設しています。

「構築の際、『Arista 7050T』シリーズの検証機を急に用意する必要が生じました。他の販社の場合、1ヶ月前には予約で埋まってしまうなど手配に苦労するのですが、東京エレクトロンデバイスは翌日に手配してくれたので、大変助かりましたね」(池田氏)

さくらインターネットは「Arista 7050Tシリーズ」の導入によって、VPSサービスにおける従前のさまざまな課題を解決できました。

「スイッチが10GbE化され、ボトルネックを解消できました。仮想サーバーの移動やバックアップに要する時間を大幅に短縮でき、サービス品質の維持・向上に寄与しています。費用対効果の面でも、従来のスイッチと同規模の投資で、10倍の帯域が得られたので、非常に満足しています」(加藤氏)

「当サービスのネットワークを構成するスイッチの台数は、従来の機器では128台でしたが、『Arista 7050T』シリーズでは1/6以下の20台弱で済みました。そのぶん、運用管理の手間やコストの削減につながっています」(上山氏)

そして、近い将来予定しているネットワークの仮想化、すなわちSDN導入の体制が整ったことも大きな効果です。

「今後はSDNを活かし、お客様自身でコンフィグを操作できるなど、より柔軟なサービスの提供を考えています。さらには、『Arista 7050T』シリーズをVPSのみならず、クラウドやホスティングなど、当社の他サービスにも展開し、インフラの最適化およびビジネス強化を推進していきたいですね」(加藤氏)

(図)さくらインターネットのVPS構成

ピンチアウトで拡大

  • 従来と同等の投資で10倍の帯域を確保
  • スイッチ数が約1/6に減り運用負荷・コストを削減
  • SDNに素早く対応可能な体制を構築

お客様プロフィール

さくらインターネット株式会社様
会社名
さくらインターネット株式会社
本社所在地
大阪市中央区南本町1丁目8番14号
設立
1999年
代表
田中邦裕
WEBサイト
http://www.sakura.ad.jp/

【お客様ソリューションご紹介】 使い勝手と低価格を兼ね備えたさくらインターネットのVPSサービス(※写真は石狩データセンター)

「さくらのVPS」は専用サーバーの使い勝手と、月額980円~という共用サーバーならではの低価格を兼ね備えたホスティングサービスです。Linuxカーネル標準搭載の仮想化技術「KVM」の採用で、完全仮想化を実現。CentOS 6やUbuntuなどから、好みに合わせて選べるマルチOS対応など高い自由度と、サーバー環境の完全独立という高いセキュリティを提供します。ブラウザからリモート操作できるコンソール画面では、OSの再起動・再インストールはワンクリックで可能など、仮想サーバーの操作やステータス確認が容易に行えます。「1G」または「2G」プランなら、リージョン(データセンター拠点)を石狩と大阪のいずれかから選択でき、災害発生時のバックアップサイトなども利用可能です。
最新の石狩データセンターでは外気冷房に加え、高電圧直流(HVDC)給電システムの共同実証実験も進めており、さまざまな角度から消費電力削減に努めています。さらには、ビジネスの拡張や変化に柔軟に対応できる分棟式の建物およびモジュール型のサーバールーム、東京ドームの1.1倍という広大な敷地によるスケールメリットも強みに、ユーザーのITインフラを支えます。

●「さくらのVPS」サービスサイト: http://vps.sakura.ad.jp/

記事は 2012年12月 取材・掲載のものです。

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