AIエージェントをさらに便利にする「MCP」とは?
AIを外部ツールと接続する「MCP」(Model Context Protocol)。AIの活用範囲を飛躍的に広げる技術として、この1年で急速に普及してきた。MCPとは果たしてどのような技術なのか。今回はその概要と今後の進化について展望する。
AIとアプリ/ツールの統合がトレンドに
2022年11月末にOpenAIが「ChatGPT」を公開したことが契機となり、大きなブームとなった生成AI。この3年でAIの能力はさらに進化し、より賢くなっただけでなく、外部のサービスとの連携も可能になるなど、より便利なものへと発展しました。
AIと外部サービスとの連携に使われている標準技術が「MCP」(Model Context Protocol)です。ここではMCPがなぜAIにとって重要なのか、MCPで何ができるのかについて紹介していきます。
ChatGPTの登場当初、AIサービスが提供するのは基本的に人間との会話でした。人間が質問をすると、AIがいかにも自然な言葉で回答を返してくる。これだけで多くの人が驚きをもってAIサービスを使い始めました。
その後、マイクロソフトがChatGPTを「Microsoft Office」に統合した「Microsoft 365 Copilot」を発表します。AIに指示するとOfficeファイルを参照した上で新しい文書やスライドを作成するといった機能が提供されるようになりました。
GitHubも「GitHub Copilot」を進化させた「GitHub Copilot Chat」を発表し、AIとの会話によるコード記述を実現しました。
このようにAIサービスの進化において、AIとアプリケーションの統合はAIのアウトプットをさらに役立つものへとさせました。すると当然のように、特定ベンダーのAIとアプリケーションの組み合わせだけではなく、さまざまなAIとさまざまなアプリケーションの連携や統合というニーズが生じたのです。
そうしたニーズに応えるべく登場したのがMCPです。
(出典:Publickey)
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AIと外部ツールの双方向プロトコル
MCPは2024年11月、Claude Codeなどを提供しているAnthropicが提唱した、AIと外部のアプリケーションやツール、サービスなどを双方向で接続するための業界標準プロトコルです。MCPに対応したAIと外部アプリケーションであれば、自由に接続して相互にやり取りすることが可能です。
例えばAIとスケジューラーをMCPで連携させると、AIに空いている時間を自然言語で聞けばスケジューラーを参照して答えてくれる、あるいは複数人で会議をするときに全員の空いている時間を提案してくれるといったことが可能です。
GitHubが提供している「GitHub MCPサーバー」を用いてAIとGitHubを接続すれば、プルリクエストやコミットといったリポジトリの操作を、AIに自然言語で指示するだけで特別なコマンド操作なしに行えるようになります。
国際的な展示会「Interop Tokyo 2025」では、ネットワーク機器をMCPでAIと連携させ、AIからの自然言語指示でさまざまなベンダーのネットワーク機器の設定を行う実験が行われました。
※参考記事:Publickey
生成AIはネットワーク構築運用をどれだけ楽にするか? Interop Tokyoでの実験が明かした現実と可能性
このようにMCPを用いてAIと外部ツールを連携させることで、人間は外部ツールごとのコマンドをいちいち操作しなくても、AIに自然言語で指示すれば済むようになります。AIサービスはますます便利になるのです。
(出典:Model Context Protocol)
独自MCPサーバーの開発も可能に
主要なAIはすでにMCPに対応しているため、既存のアプリケーションやサービス側でMCPに対応する仕組みであるMCPサーバーを追加することで、AIからMCPを通じて既存のアプリケーションやサービスを操作できるようになります。
ここではMCPの技術的な仕組みにまでは踏み込みませんが、MCPサーバーを開発するためのSDK(Software Development Kit)がさまざまなプログラミング言語で提供され始めています。
このSDKを用いて、既存のアプリケーションやサービスのAPIをMCP経由でAIが呼び出せるようにすれば、例えばAIと社内の業務アプリケーションをMCPで接続し、売上情報を自然言語で参照/分析するといったことが可能になります。
MCPの結果をビジュアルに返す「MCP Apps」
2026年1月には、MCPがさらに便利となる「MCP Apps」という仕組みも追加されました。
これまでのMCPは前述の通り、AIがMCPを通じて外部ツールを操作する、あるいはMCPを通じて取得した結果をテキストで返答するものでした。MCP AppsはこうしたMCPを通じた外部ツールからの返答に、ビジュアルなユーザーインターフェイスを追加するものです。
例えばAIに質問した結果を、地図グラフィックやグラフ、QRコード、PDFファイルで返すなど、さまざまな表現が可能になります。MCPはAIと外部ツールの接続を通じて、自然言語でさまざまな外部ツールを操作するだけでなく、より高度な表現でその結果をユーザーに示すことができるようになるのです。
MCPはすでに主要なAIモデルでの対応が行われており、AIと外部ツールを接続する業界標準として広く使われています。さらにMCPの標準仕様は、継続的なアップデートも続けています。
AIを活用したアプリケーションではMCPへの対応がますます欠かせないものとなるのではないでしょうか。
(出典:MCP AppsのExamplesページ)
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※このコラムは不定期連載です。
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新野淳一/Junichi Niino
ブログメディア「Publickey」( http://www.publickey1.jp/ )運営者。IT系の雑誌編集者、オンラインメディア発行人を経て独立。新しいオンラインメディアの可能性を追求。