サーバークラウドストレージ

(連載)令和時代のサーバー入門
第2回 ストレージ基本の「き」

「令和時代のサーバー入門」シリーズではサーバーの基礎から仮想化、クラウドといったサーバーに関わる各テクノロジーについて触れていきます。
第2回の本記事ではストレージについての基礎を解説します。

はじめに

第1回の記事では、サーバーの基本について記載しました。
第2回となる本記事では、サーバーと切っても切れない関係にある「ストレージ」について触れていきたいと思います。

 連載記事一覧:
  第1回 サーバー基本の「き」
  第2回 ストレージ基本の「き」         ←本記事
  第3回 アプライアンス
  第4回 サーバーの仮想化(その1)
  第5回 サーバーの仮想化(その2)
  第6回 クラウド利用(その1)
  第7回 クラウド利用(その2)

ストレージとは?

ストレージとは、広義では「貯蔵・保管」という意味の言葉になり、身近なもので言えば、図書館や酒蔵といったものがストレージに分類されますが、ITの分野では一般に「ストレージ」と言うと、データを保管する装置のことを指します。

例えば、手元のPCで発表用の資料を作成していて、今日中に終らなかったのでまた明日に途中から作り続けようというときは作りかけの資料を保存すると思います。その保存を担当しているのが「ストレージ」です。

ストレージの種類

HDD(Hard Disk Drive)とSSD(Solid State Drive)と呼ばれる2種類のストレージが主に使用されています。

ストレージの種類

特徴

SSD

フラッシュメモリという半導体にデータを保存する仕組みになっています。
HDDを比べて高速にデータを読み書きできます。

HDD

磁気を利用して、磁気ディスクと呼ばれる円盤にデータを保存する仕組みになっています。
SSDと比べて大容量のデータを保存できます。

筆者がIT業界に足を踏み入れたのは2007年ころですが、当時はHDDが主流でした。2010年代からSSDの大容量化が進み容量単価が低下したことで、HDDに替わる高性能なストレージデバイスとして注目を浴び、筆者の感覚では2010年代後半から一気にエンタープライズ(一般企業)の市場でSSDの使用が普及した印象です。

SSDの利用が広がってきていますが、HDDと比べまだ高価なものとなっています。そのため、2024年現在では高性能なSSD、安価で大容量なHDDというすみ分けで、どちらも利用されている状況です。とはいえ、SSDは進化を続けており、今後更に容量単価が低くなれば世の中のHDDはすべてSSDに全て置き換わるかもしれません。

ストレージの外付け

ストレージは、基本的にはサーバー筐体の中に構成されています。

サーバー筐体に内蔵できるストレージ(HDD/SSD)の数には空間的に限られていることから、大量のデータを保持する際には、サーバー筐体の外部にストレージ装置を外付けする形態をとります。
大容量のデータを保持する性質のあるサーバー、例えばバックアップサーバーやDBサーバーなどで外付けの構成がとられます。

サーバー筐体に外付けするストレージのことを、単に「ストレージ」と呼ぶこともありますし、「ストレージアレイ」「ディスクアレイ」といった呼ばれ方をすることもあります。
尚、サーバーとストレージ間は、FC(Fibre Channel)もしくはiSCSIといったプロトコルでの接続が一般的です。

RAID

例えば、4TBのHDDが8本搭載されているサーバー筐体では、OSから利用可能なストレージ領域として4TBの領域が8つ見えてきます。ただ、これだと使い勝手が悪く1つにまとめて32TBの領域として利用したい、という要望も当然出てきます。
そこで、複数のストレージデバイス(SSD/HDD)をまとめて1つの領域として扱う技術が存在しており、一般的にRAID(Redundant Arrays of Independent Disks)と呼ばれています。

上記は単純に容量をひとまとめにする構成(RAID0)ですが、1台のストレージデバイス(SSD/HDD)が故障してもデータ欠損が発生しないようなデータ冗長性を持つ構成(RAID5など)もとることができます。
尚、RAID0~6が一般的に知られていますが、昨今では各メーカー独自の冗長化技術を使ったストレージ製品も存在しています。

サーバーの冗長化と共有ストレージ

大容量のデータ保持が必要な場合にストレージを外付けする、と前述しましたが、もう1つ外付けによって得られるメリットがあります。
ミッションクリティカルなサーバーの場合、1台のサーバーが故障しても業務が継続できるよう冗長化したいという要望があります。それに答える代表的な構成として、複数台のサーバーから同一ストレージを共有し、冗長化ソフトウェアにてサーバーの冗長性を確保する構成があります。

複数のサーバーからストレージ領域を共有し、どのサーバーからも同じストレージ領域(データ)が見えるようにしておくことで、1台のサーバーが故障しても他のサーバーから同一ストレージ領域を使ってサービスを継続するようすることができるようになります。
※ 1台故障時のサービス切替はWindows Failover Cluster等の冗長化機能を持つソフトウェア制御で行います。

サーバーとストレージの接続は1対1だけではなく、多対1の構成も組むことができ、主にサーバーの冗長化を確保する際の1つの代表的な構成として知られています。

また、近年ではクラスタ構成のためのデータ共有に外付けストレージを使用せず、各々のサーバーの内蔵ストレージを利用して仮想的に外付けストレージを付けているように見せるテクノロジ(SDS:Software Defined Storage)が登場しており、第5回の記事で触れますが、仮想化基盤の共有ストレージとして構成されています。

ストレージの分類

2024年現在、エンタープライズ(一般企業)向けの外付けストレージ製品は、Dell Technologies社といったサーバーメーカーが販売している他、Pure Storage社といったようなストレージメーカーにより販売されています。
販売されているストレージについて、使用用途に応じて大きく分けると次の3種類に分類することができます。

※ バックアップ分類のストレージは、厳密にはサーバー機能を含むアプライアンス製品となりますが、
  ここでは分かり易さのため同列で記載しています。

まとめ

今回はサーバーにとって不可欠なストレージについて、その基礎を解説しました。

本記事のポイント

ストレージはデータを保管する役割を持つ装置である

大容量のデータ保管が必要な場合は、ストレージをサーバーに外付けする構成をとる

ストレージ製品は大きく次の3つに分類される
   ・ハイエンド(All SSD)
   ・汎用(SSD+HDDハイブリッド)
   ・バックアップ(HDD、重複除外)

引き続き、第3回以降の記事も見て頂けますと幸いです。

当社の取り組み

東京エレクトロンデバイスでは、現在、Pure Storage社製およびDell Technologies 社製のストレージを中心にストレージ製品の販売を行っております。

本記事の分類別で一部ご紹介します。

  • ハイエンド: Pure Storage Flash Array
    • オールフラッシュ構成のストレージで、性能を求められるような中・大規模の仮想化基盤やデータベース用ストレージとしてよく採用頂いています。
    • Pure Storage製品については こちら をご確認ください。

  • 汎用: Dell Technologies Unity
    • SSD+HDDのハイブリッド構成が組めるストレージで、小・中規模の仮想化基盤やファイルサーバー等で利用されています。
    • Unity製品については こちら をご確認ください。

  • バックアップ: Dell Technologies Data Domain
    • HDD構成で重複除外の機能を持つバックアップデータ保存向けのストレージ製品です。
    • Data Domain製品については こちら をご確認ください。

次回案内

次回は、特定サービスに特化した「アプライアンス」製品についてご紹介します。
ここまで読んでいただきありがとうございました。

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