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AI Hardware & Edge AI Summit 2023 レポート②

2023年は「生成AI」元年でした。弊社でもAIビジネスを成長させていくため、アメリカカルフォルニア州で開催された【AI Hardware & Edge AI Summit 2023】へ参加してきました。第2弾として、イベントを通じて感じたAI市場の動向についてや、興味深かった企業、展示についてレポートします。

イベントの概要や基調講演については別の記事にてレポートしておりますので、あわせてご参照ください。

① イベントの概要や現地の様子について
② AI市場の動向、興味深かった企業/展示について   ←本記事
③ 基調講演について

<AIの市場の動向について>

Artificial intelligence (AI) market size worldwide in 2021 with a forecast until 2030

まずAIの市場規模ですが、市場調査/コンサルティング会社である Next Move Strategy Consulting によると、2021年時点の約1千億米ドルから、2030年にはほぼ20倍となる約2兆米ドルにまで拡大するとみられています。そして一口にAIといっても様々な分野が存在しています。皆さんに馴染みのある AWS や Google などのCLOUD SERVICE PROVIDERS」の分野は昨今大きな注目を集めていると思いますし、皆さんの関心も高いかなと思っています。

しかしながら、膨大なデータのやり取りをクラウド間で行えば当然ながら高い通信料を払う必要が出てきます。また遅延とも向き合っていかなければなりません。本イベントに参加するまではあまり意識できていませんでしたが、このイベントが "AI Hardware" と "Edge AI" に特化していたため、AIシステムは cloud と edge をうまく組み合わせて運用していく必要があると強く感じました。

またChatGPTのような生成AIが身近なビジネスツールとして普及している一方で、様々なセキュリティリスク(機密情報・個人情報・著作権 等)も問題として取り上げられています。これら機密性の高い情報をedge側で処理をさせてしまえばデータが外に出ないことになりますので、こちらも大きなメリットになると考えています。

本イベントでは、上記図のようにAIの分野を12に分けておりました。先述した「CLOUD SERVICE PROVIDERS」の分野に加え、弊社で既に取り扱いのある Cerebrasが位置する「COMPUTE(SERVER)」の分野を中心に展示の紹介をさせていただきます。

<展示(Partner Booths)について>

前回レポートさせていただきましたが、まだまだ発展途上のイベントとなりますのでスタートアップ企業が多く、ユースケースもたくさん紹介されていました。ショッピングモールの通行人や自動車、危険を伴う現場での安全管理のための作業現場での行動分析や、展示会場内に設置されたカメラを通じて、イベント参加者の行動解析をしていたり、Hardwareの展示も多く、視覚的にも非常に楽しむことが出来ました。

作業現場での行動分析

イベント参加者の行動解析

Hardwareの展示(NVIDIA)

興味深かった企業として「COMPUTE(SERVER)」の分野に属していた SambaNova について少し紹介させていただきます。一番推していた "フルスタック・プラットフォーム" は、1から構築する場合と比べわずかな時間、費用でAIサービスを開始することが出来ます。自社でAIサービスを開始と聞くとかなりハードルが高いと思われるかもしれませんが、汎用性が高く、別のモデル移行のサポートやGUIを使ったカスタマイズにも対応しておりました。

会社の設立は 2017年 となりますが、NVIDIA の競合とも言われております。NVIDIAはAI チップ市場を独占していますが、生成 AI ソフトウェアへの関心によって需要が増え、お客様へのAIチップへの提供が困難になり、SambaNovaのようなスタートアップ企業がその隙間を埋めているようです。

また、同じく「COMPUTE(SERVER)」のカテゴリに分類されていた Graphcore でも話を聞いてきました。Graphcore はNVIDIAのGPU※1 に対し、IPU※2で知られています。ベンチマークではNVIDIAのGPUを上回る結果も確認されており、価格に関してもより安価であるため、こちらの展示も多くの人で賑わっていました。GPUからの移行についてのユースケースも紹介されており、イベント参加者に向けた強いメッセージとして受け取りました。

他にもたくさんの展示ブースで話を聞くことができました。AIは様々な分野に分かれているということを書きましたが、スタートアップ企業の台頭によって大手との競合も多くなってきており、AIを導入する立場としては色々な可能性が広がってきているなということを肌で感じることが出来ました。


続きはAI Hardware & Edge AI Summit 2023 レポート③をご覧ください。

<おまけ ~会場飯②~ >

二日目のご飯もとっても美味しかったです!この日はデザートも食べてみましたが、甘すぎず、アイスティーにもよく合って優雅なランチタイムを過ごすことが出来ました。ちなみにランチのスポンサーはBrainChip でした。

しかしながら、日本人としてこの味噌汁は…笑 

【用語解説】

*1 GPU(Graphics Processing Unit):グラフィックス処理のために設計されたハードウェアですが、近年では一般的な計算作業や機械学習などの高度な計算にも使用されています。大量のデータを並列処理することが得意であり、これが機械学習モデルの訓練や推論に適しています。

*2 IPU(Intelligence Processing Unit):機械学習ワークロードに特化したプロセッサで、推論処理に焦点を当て、高効率で低消費電力な演算を行います。機械学習の展開やエッジコンピューティングなどの分野で注目を集めており、その特定の用途において高性能で効率的な処理に適しています。

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