バックアップソリューションでさらに高まるPowerScale Isilonデータ保護の堅牢性(前編) | 東京エレクトロンデバイス

技術解説

バックアップソリューションでさらに高まるPowerScale Isilonデータ保護の堅牢性(前編)ーPowerScale IsilonスケールアウトNASが実装する強固なデータ保護方法

PowerScale IsilonスケールアウトNASには、様々な強固なデータ保護の仕組みや機能が実装されています。データ損失の可能性を最小化するためのPowerScale Isilon独自のアーキテクチャFlexProtect、独自のスナップショットソフトウエア「SnapshotIQ」を利用したオンラインバックアップ、非同期レプリケーションソフトウエア「SyncIQ」を使った遠隔地サイトへのデータ保護などです。それぞれの特長についてご紹介しましょう。

FlexProtect―多重障害にも対応できる強固なデータ保護手法

PowerScale IsilonスケールアウトNASでは、基本的にデータ損失のない独自のアーキテクチャを採用しています。具体的には、1つのノードにディスク、CPU、メモリ、ネットワークが搭載され、複数のノードを単一のファイルシステムとして統合管理しています。ここにデータを書き込むとOSが自動的に各ノードに分散してデータとパリティを書き込む仕組みです。これにより、1つのノードの障害、あるいはノードを跨ぐHDDの障害にも対応が可能になります。

RAIDでは、たとえばRAID 0+1やRAID 5の場合、同時に2つのディスクが壊れてしまうとデータ損失が発生します。RAID 6ではこの問題を解決しましたが、PowerScale IsilonではRAID 6に相当するN+2(2ノード障害に対応)はもちろん、設定次第ではN+4(4ノード障害に対応)までのデータ保護が可能です。RAIDのデータ保護技術を遙かに超える独自のFlexProtect技術によって、クラスタのほとんどのハードウエア障害に対応でき、データの欠損を極小化できます。

FlexProtect―多重障害にも対応できる強固なデータ保護手法図解

N+1(3ノード以上) <- RAID5担当 - 保護:1ノード障害
- 1ノード分のDisk容量をパリティで利用
N+2:1(3ノード以上)
- 保護:1ノード or 1ノードを跨る2つのHDD障害
- 1ノード分のDisk容量をパリティで利用
N+3:1(3ノード以上)
- 保護:1ノード or 1ノードを跨る3つのHDD障害
- 1ノード分のDisk容量をパリティで利用
N+2(5ノード以上) <- RAID6担当
- 保護:2ノード障害
- 2ノード分のDisk容量をパリティで利用
N+3(7ノード以上)
- 保護:3ノード障害
- 3ノード分のDisk容量をパリティで利用
N+4(9ノード以上)
- 保護:4ノード障害
- 4ノード分のDisk容量をパリティで利用

SnapshotIQ―柔軟なオンラインバックアップ、ユーザー自身でリストアが可能

PowerScale IsilonスケールアウトNAS のスナップショット機能「SnapshotIQ」は、柔軟性に富んだオンラインバックアップを実現します。異なるボリュームごと、あるいは複数のストレージごとにスナップショットを管理する従来の技術では、急増するデータの保護に手間も時間もかかります。「SnapshotIQ」はバックアップが必要なデータをディレクトリあるいはサブディレクトリ単位ですばやくバックアップでき、同時に細かな復元ポイントを自動的に生成することができます。
「 SnapshotIQ」の場合、クラスタストレージプール全体としては無制限、また単一ディレクトリとしては最大1024世代までスナップショットを作成できます。従来のような単一ボリュームなどに依存した総数の制約はありません。また、作成したスナップショットは一元的に管理でき、必要に応じてユーザー自身が参照した上で過去のファイルをリストアすることが可能です。柔軟にかつ使い勝手の良いデータ保護のツールです。
オンラインバックアップ図解

SyncIQ―サイト障害に対応するレプリケーション、サービスの即時再開も可能

万一の災害発生時にもデータ消失のリスクを最小化し、すばやくサービスを再開することは企業にとって必須の対策です。PowerScale IsilonスケールアウトNASの非同期レプリケーション機能「SyncIQ」は、コストを抑制しつつシンプルなディザスタリカバリ環境を実現します。 「SyncIQ」は、クラスタ間でディレクトリ単位での高速なレプリケーションを行います。また、クラスタで複製ジョブを並行処理する完全分散型アーキテクチャによって、複製ジョブが実行されている間もすべてのノードはバックグラウンドでデータを送受信します。差分データのみをターゲットクラスタに複製する仕組みなので、データ移行の所要時間を大幅に短縮するとともに占有するバンド幅も最小化できます。
さらに、レプリケーションのスケジューリングと頻度などを指定して自動的にデータ移行を実行できます。
次回は、バックアップ統合やデータの長期保存などPowerScale Isilonをさらに拡張して活用する手法についてご紹介します。お楽しみに。

ビジネス・デベロップメント部
南里修一