Dell Technologies PowerScale Isilon解説【前編】加速するデータ増大への対応と運用管理のシンプル化を実現するNAS | 東京エレクトロンデバイス

技術解説

Dell Technologies PowerScale Isilon解説【前編】加速するデータ増大への対応と運用管理のシンプル化を実現するNAS

企業内に蓄積されるファイルデータの容量は、急激なスピードで増え続ける一方。これに伴って、ランニングコストや運用管理負担の増大など、様々な課題が生じています。大容量データの有効活用を実現するためには、柔軟な拡張性と高いパフォーマンス、それにシンプルな運用管理性を備えたストレージが欠かせません。そこで注目を集めているのが、スケールアウトNAS「PowerScale Isilon」です。

最大20PBのHDDに相当する巨大な単一ボリュームを実現

PowerScale Isilon」は、膨大なオフィス文書や大容量の画像/動画データ、各種センサから出力される数値データなどの非構造データを、効率的に蓄積・管理できるスケールアウトNASです。PowerScale Isilonを活用することで、部門や業務ごとにサイロ化したNASの統合や、ストレージ運用管理負担の軽減、万一の災害などに備えるためのデータ保護を実現することができます。

従来型のNAS(ファイル)ストレージにおける課題点として、1つのストレージシステム内に複数のRAID、ボリューム、ファイルシステムが存在している点が挙げられます。個々のボリュームサイズには上限があり、物理設計やデータ保護設計、マウントポイントの管理なども個別に行わなくてはなりません。一見、1つのストレージシステムのように見えてはいても、その内部はサイロ化し、運用管理にも多くの工数を必要としていました。
PowerScale Isilonを活用すれば、こうした課題を効果的に解消することができます。PowerScale Isilonは、RAID、ボリュームマネージャ、ファイルシステムの3つのレイヤーを1つに統合した独自分散ファイルシステム「One FS」を搭載しており、ストレージシステム全体をまるで単一の巨大なHDDのように扱うことができます(図1)。/faq/emc_isilon/
図1:サイロを作らず、一挙にデータを格納し複数箇所から同時アクセス図1:サイロを作らず、一挙にデータを格納し複数箇所から同時アクセス
しかも最大144ノード・20PBまでの拡張性を備えていますから、大量の大容量データを保存する際なども、いちいちボリュームを分けたりする必要はありません。動画データやマルチメディアコンテンツを多用するメディア/エンターテイメント業界でPowerScale Isilonの採用が拡がっているのもこのためです。
また、PowerScale Isilonには、ストレージリソースを効率よく利用できるという特長も備わっています。一般的なNASにおけるリソース使用率は50~60%と言われますが、オーバーヘッドの少ないPowerScale Isilonでは平均80%ものリソースを使用することが可能。IT投資の最適化にも役立ってくれます。

増設作業を60秒で完了できパフォーマンスもリニアに向上

運用管理負荷の軽減を図っていく上でも、PowerScale Isilonは大きな効果をもたらしてくれます。ストレージシステムの容量不足が生じた場合、従来はRAIDの設計やファイルシステム/ボリューム構成などの作業をその都度やり直す必要がありました。当然こうした作業には、それなりの時間も費用も掛かってしまいます。

しかし、PowerScale Isilonなら、コントローラやHDD、メモリ、ネットワークインターフェースを内蔵した「プラットフォーム・ノード」を既存の環境に追加するだけ。ケーブルをつないでボタンを押せば、約60秒後にはもう容量拡張作業が完了しています。ストレージ内部でのデータ再配置なども自動的に行われますから、まったく手間も時間も掛かりません。しかも、こうした作業を無停止で行えるため、ユーザーの業務に影響を与える心配も無用です。
また、ストレージ増設に伴って、パフォーマンスを向上させられるのもPowerScale Isilonの大きなメリットです。通常のNASの場合、いくらHDDを増設したとしても、コントローラがボトルネックとなってパフォーマンスが低下してしまう傾向があります。しかし、PowerScale Isilonのプラットフォーム・ノードは、先にも触れた通り全ての要素を筐体内に一体化しているため、ノード数を増やせばそれだけパフォーマンスもリニアに向上するのです(図2)。

図2:Isilonは容量を追加するほど性能が上がる出典:http://www.spec.org/
図2:PowerScale Isilonは容量を追加するほど性能が上がる(縦軸はIOPSの値・横軸はPowerScale Isilonのノード数)

さらに、最大4ノード同時障害に対応できる高い信頼性・可用性も備えている上に、柔軟なスナップショット機能や遠隔地へのデータレプリケーション機能なども用意。メインサイト内でのデータ保護や、ディザスタリカバリー・システムの構築など、企業の重要な業務データを守る取り組みにも貢献してくれます。

東京エレクトロンデバイスでは、加速するデータ増大への対応を果たすための有力なソリューションの1つとしてIsilonを位置付けています。取り扱い開始から既に10年近い歴史を積み重ねており、国内市場での導入実績もトップクラスです。今後もこの経験とノウハウを活かし、お客さまの課題解決をご支援していきます。