情報・通信
ファブリックスイッチVDXの導入でネットワーク環境を刷新
柔軟な拡張性と高可用性を確保、運用管理負荷も大幅に軽減
お客様の課題
TEDのソリューション
株式会社アイネット
ITマネージドサービス事業部
総合技術部 部長
玉川 嘉孝 氏
株式会社アイネット
ITマネージドサービス事業部
総合技術部 課長
望月 淳彦 氏
株式会社アイネット
ITマネージドサービス事業部
総合技術部
小熊 隆史 氏
株式会社アイネット
ITマネージドサービス事業部
総合技術部
野見山 沙葉 氏
ガソリンスタンドの情報処理サービス会社としてスタートして2011年4月で40周年、アイネットは現在も全国のガソリンスタンドの25%の情報処理を請け負う(業界トップシェア)とともに、蓄積したデータセンターの運用ノウハウを活かして多彩なサービスを提供し、高い評価を得ています。
同社では、2009年に最先端の設備と最高レベルの安全性を備えた第2データセンターを開設、仮想化やクラウドコンピューティングなどの環境を提供する新サービスをスタートさせています。その中核となるサービスが仮想化オール・イン・ワン サービス「VAiOS(ヴァイオス)」です。
「VAiOSは、単に仮想サーバーの利用環境を提供するだけでなく、業界初となる仮想化運用代行センター『VOC®』を中心に仮想化システムの導入計画立案から設計・構築、運用、クラウド化支援までをワンストップで提供します。サービス開始からまだ1年足らずですが、すでに80社以上のお客様にご利用いただき、最初から大規模なミッションクリティカルなシステムで利用されるお客様も増えています」(玉川氏)
サーバーやストレージなどのリソースの増設が相次ぐ中、一つ先を見据えて課題となったのがネットワーク基盤の拡張性、可用性の確保や管理のシンプル化でした。データセンターではL2ネットワークの冗長化の確保にSTPを利用した構成を採用していました。STPはActive-Passive構成のために帯域を効率良く使えないこと、また切り替え時に瞬間的に切断が発生することなどの問題がありました。ミッションクリティカルなシステムの増大など今後のサービスの拡大を考えるとSTPは排除することが必要でした。
「VAiOSがプライベート・クラウドにフォーカスしていることもあり、お客様の中にはイントラネットなどクローズド・ネットワークで利用したいというニーズも少なくありません。そうした要望にスムーズに対応するためにも、管理しやすいシンプルな基盤、スケーラブルな基盤に刷新することを検討しました」(玉川氏)
同社が注目したのは「Brocade VDX 6720 データセンター・ファブリック・スイッチ」(以下、VDX)でした。このVDXは、Virtual Cluster Switching(VCS)テクノロジーを実装、既存のネットワーク設計と配線を保持しつつ、STPを使用しないActive-Activeの冗長構成が可能です。また、スケールアウト型のファブリック・アーキテクチャーにより、シンプルかつ柔軟なネットワーク拡張を無停止で実現できます。同社では将来的にFCoE(Fibre Channel over Ethernet)接続も視野に入れており、VDXのオープンなアーキテクチャーにより、既存のリソースを保護しながらサーバー、ストレージなどの機器の選択肢が広がります。
このVDX導入に当たり、ブロケード社から推薦されたのが、ブロケードのSANスイッチの導入で豊富な実績を有する東京エレクトロンデバイスでした。
「VCSテクノロジーやさまざまなインテリジェント機能など机上で理解していたVDXについて、実際に活用する方法やポイントを示してくれたのが東京エレクトロンデバイスです。その意味で、東京エレクトロンデバイスにはスムーズな導入、運用のための触媒的な役割を果たしていただきました」(望月氏)
VDXの設置は2011年5月、そこから検証作業が開始されました。この検証作業においても、東京エレクトロンデバイスの豊富な検証ノウハウが大きく貢献したと言います。
「検証のポイントについて的確なアドバイスをいただきました。検証項目は130項目ほどで、実機を使った検証作業は1日で終えるというタイトなスケジュールでしたが、東京エレクトロンデバイスの支援を得て、スムーズに終えることができました」(小熊氏)
「VDXはケーブルを結線するだけで利用できます。従来の煩雑な定義や設定が必要なL2スイッチとは大きく異なるので多少の戸惑いもありましたが、東京エレクトロンデバイスの技術者に懇切丁寧に教えていただきながら検証作業を予定どおりに実施することができました」(野見山氏)
ピンチアウトで拡大
同社ではまず既存のエッジネットワークにVDXを適用、サーバーの増設に従ってVDXを追加していく計画です。VCS機能でシンプル化されたファブリック・ネットワークでは、ケーブルをつなぐだけでポートを追加でき、インフラの拡張も容易になりました。また、従来の環境ではL2スイッチを増設する際には、物理設計、論理設計、設定と手間も時間もかかりましたが、VDXの場合にはその部分が不要になり、スピーディに拡張できます。拡張の工数を大幅に削減できるだけでなく、拡張に伴うリスクも低減できます。
「VDXのインテリジェント機能などについては今後さらに追加されていく予定と聞いています。そうしたVDXの進化の過程で、東京エレクトロンデバイスにはそれに応じたきめ細かな技術支援を期待しています」(望月氏)
「東京エレクトロンデバイスは多彩なソリューションを取り扱い、サポート実績も豊富です。今後、FCoEへの対応やストレージの増設なども含めてトータルにサポートしていただき、データセンターのインフラを一緒に作り上げていきたいと考えています」(玉川氏)
2009年6月に稼働を開始したアイネットの第2データセンターはBCPや情報セキュリティ、リスク管理や省電力への対応や大規模災害時にも耐えうる非常時対応・電源設備・ネットワーク環境の水準を極めた国内最高クラスの次世代型データセンターです。
アイネットの第2データセンターは、活断層、液状化、水害不安のないロケーションに建ち、建物全体がハイブリッドTASS構法による免震構造です。
省電力のためにも様々な工夫がなされています。まず、コロケーションルームの床下は77センチのフリーアクセスを確保しているので、床下に吹く冷気の送風を弱くすることができ、空調機の効率を上げています。また、全熱交換器により空調機の節電も図っています。
セキュリティレベルも非常に高く、フラッパゲートや非接触式ICカード、虹彩認証が随所に設けられており、実際にサーバーまで到着するには9箇所のセキュリティを通る必要があります。
また、人の目だけでなくセキュリティカメラの映像を保存するなど厳重な監視体制により安心・安全なサービスの提供が実現しています。
記事は 2011年09月 取材・掲載のものです。