教育・研究機関
学内システムの仮想化基盤を統合して運用性を向上、
省スペース・電力量削減によるコスト削減も実現
お客様の課題
TEDのソリューション
関西大学
学術情報事務局
情報基盤グループ
グループ長補佐
渕上 裕一氏
関西大学
学術情報事務局
情報基盤グループ 主任
宮口 岳士氏
関西大学では、分散構成されていた仮想化基盤を統合するために、Nutanixのハイパーコンバージドインフラストラクチャ(以下、HCI)製品「Nutanix Enterprise Cloud Platform NX-8000シリーズ」を導入しました。多くの業務システム、学事システムなどが稼働する仮想化基盤の統合管理が可能となったことで運用性が大幅に向上し、省スペース・電力量削減によるコストの削減効果も実現しています。
大阪府吹田市の関西大学は、13の学部・研究科に加え、法科大学院、会計専門職大学院などを擁する総合大学です。近年は、次世代のグローバルリーダーを育成する多様な取り組みを実施しており、国際化に対応したプログラムの整備なども積極的に進めています。
関西大学では学内情報化を積極的に推進しており、中核となるITセンターではICT環境を整備し、学習や研究活動、学内事務を支援しています。
「10年ほど前に“IT化推進プロジェクト”が立ち上がり、それまでは部署ごとに分散していたシステムを千里山キャンパスのITセンターに集約しました。さらに、5年前からは仮想化技術の進展を受け、各システムの仮想化を進めています」(渕上氏)
関西大学では今回、IT化推進プロジェクトで導入した機器のリプレースとともにさらに仮想化を進めるべく、仮想化基盤の刷新を実施しました。
「5年前から進めた仮想化は、できるものから順次実施してきました。そのため、基盤となる仮想サーバーが5つという構成になっています。まだ物理サーバーで稼働しているシステムも残っているため、これらも仮想化した上で基盤となるサーバーを1つに集約したいという思いがありました」(宮口氏)
今回の仮想化基盤の移行は、5台稼働している仮想サーバーのうちリプレース時期の来た3台分です。この3台のサーバー上で24の仮想化された業務システムが稼働しています。これに加えて、物理サーバーで稼働している6システムも仮想化します。仮想化基盤を刷新するにあたりポイントになったのがHCIでした。
「今回、仮想化基盤を刷新する上では、災害対策や事業継続を考え、学内のシステムをデータセンターに移行するという前提がありました。データセンターへ移行するにあたり、ラックスペースや運用性を考慮し、新たな基盤はHCIが望ましいと考え、要件としました」(宮口氏)
複数のHCIを検討し、採用されたのが東京エレクトロンデバイスの扱う、Nutanix社の「Nutanix Enterprise Cloud Platform NX-8000シリーズ(以下、Nutanix)」です。
「Nutanixは実績も豊富で、安心感があります。スモールスタートして、低コストで容易にスケールアウトできる拡張性の高さも私たちのニーズに合致しました」(渕上氏)
「決め手になったのは高い運用性です。PrismGUIのダッシュボードから仮想化基盤を統合管理できることをメリットと感じました。また、可用性と冗長性の高さも採用のポイントになりました」(宮口氏)
東京エレクトロンデバイスは今回の導入に先立ってデモンストレーションを実施したほか、設計から構築フェーズを中心に積極的な支援を行い、2018年8月の夏季休業期間中には大きなトラブルもなく短期間での移行作業が完了しました。関西大学では従来の仮想化基盤にVMwareを使用しており、今回のNutanixでもハイパーバイザーにVMwareを選択したことで、V2Vの移行作業がスムーズに行えたと分析しています。
導入以降、Nutanixは安定して稼働し、トラブルも発生していません。宮口氏は導入の効果について、まず運用性の向上を挙げました。
「統合管理が可能になったことが大きな効果です。以前は仮想化基盤を構成する機器をそれぞれ管理する必要がありましたが、一元的にできるようになりました」(宮口氏)
今回の移行では学内のサーバー室からデータセンターへの移設が実施されており、仮想化基盤部分についてはNutanixの恩恵が大きいと言います。
「設置スペースはかなり節約できています。今回の移行でおよそ92%の節約です。以前のサーバーは垂直統合型でストレージが別設置でしたので、Nutanixの省スペース性は優れたメリットだと思います。それにともない電力の使用量も大幅に下がっていますし、コストの削減に繋がっています」(渕上氏)
関西大学では、提案から設計、構築と積極的な支援を行った東京エレクトロンデバイスを次のように評価しています。
「レスポンスが的確で、技術面のサポートもしっかりしていただき、期間が短い中でもスケジュール通りに移行ができました。操作マニュアルの作成や説明会の開催などもスムーズで安心感のある移行に繋がったと思います」(宮口氏)
まず仮想サーバー3台分のシステム移行を完了した関西大学では、残り2台分のシステムについても2020年度の移行を目指しています。
「まずは2020年度にリプレースを迎える仮想化基盤、そしてまだ残っている物理サーバーをNutanixに一元化していきたいと考えています。次のステップとしては、クラウドサービス利用のガイドラインを策定した上で、ホスティングやクラウドの利用も検討していきます」(渕上氏)
ピンチアウトで拡大
前身である関西法律学校の設立は1886年。法、文、経済、商、社会、政策創造、外国語、人間健康、総合情報、社会安全、システム理工、環境都市工、化学生命工の13学部、研究科、法科大学院、会計専門職大学院、臨床心理専門職大学院、留学生別科を擁する総合大学。大阪府吹田市の千里山キャンパスのほか、高槻市、堺市、大阪梅田等にもキャンパスを構えています。全国の大学に先駆けて、海外の大学の学生と遠隔で授業を行うオンライン型国際連携学習COIL(Collaborative Online International Learning)型教育の実践に取り組んでおり、計21の海外大学、11カ国とネットワークを持っています。
記事は 2019年03月 取材・掲載のものです。