バックアップソリューションでさらに高まるPowerScale Isilonデータ保護の堅牢性(後編) | 東京エレクトロンデバイス

技術解説

バックアップソリューションでさらに高まるPowerScale Isilonデータ保護の堅牢性(後編)ーPowerScale IsilonスケールアウトNASとバックアップ製品との連携を最適化

前編でご紹介したとおり、PowerScale IsilonスケールアウトNASには様々なデータ保護の仕組みや機能が実装されています。 しかし例えば他システムも含めたバックアップを統合し効率化したい、あるいは1年以上、数年にわたってデータを保管したいという場合、 バックアップソリューションを用意し、PowerScale IsilonスケールアウトNASと連携させた仕組みを構築するとさらに効果的です。

PowerScale IsilonスケールアウトNAS との連携によるバックアップの仕組み

PowerScale IsilonスケールアウトNASとの連携によるシステムとしては、Remote NDMPによるバックアップ、 Direct NDMPによるバックアップの2つの方法があります。このうちRemote NDMPによる方法はLAN経由でバックアップする仕組みで、安価にシステムを構築できるのが特長です。ただし、LANの帯域が狭いため、Direct NDMPと比較するとバックアップに時間がかかります。
Direct NDMPによる方法は、ファイバーチャネルでPowerScale Isilonクラスタとテープ装置を直結してバックアップする仕組みです。専用の「PowerScale Isilon IQ Backup Accelerator」を利用し、並列ストリームによる超高速バックアップが可能です。また、シームレスにパフォーマンスを拡張できるので、バックアップウィンドウを最小化できます。

Direct NDMPによるバックアップは高いパフォーマンスを実証

それぞれのシステムのパフォーマンスはどれくらいか、「PowerScale Isilon IQ Backup Accelerator」の効果はどうなのか、東京エレクトロンデバイスでは仮想テープライブラリ(VTL)を使って、実際の環境を構築して検証を行いました。 VTLの使い方はテープと同じですが、多重バックアップができるので、バックアップのパフォーマンスを向上できるからです。

*以降のパフォーマンスデータはあくまで弊社環境での検証時のものです。 パフォーマンスを保障するものではありませんので、あらかじめご了承ください。*以降のパフォーマンスデータはあくまで弊社環境での検証時のものです。
パフォーマンスを保障するものではありませんので、あらかじめご了承ください。

1多重にてファイルサイズごとのスループットを計測したところ、Remote NDMPによるバックアップではファイルサイズにかかわらず20~30MB/sほどのスループット値で、ファイルサイズによる大きな変動はありませんでした。これはLANがボトルネックとなっていると考えられます。
一方、Direct NDMPによるバックアップでは、最小の1MBのサイズで60MB/sほど、最大の10GBサイズで120MB/sほどのスループットが得られました。Remote NDMPによるバックアップと比べると3~4倍のパフォーマンスとなり、特に大きなファイルサイズでは、より高いパフォーマンスを発揮しています。
さらに、Direct NDMPによる3多重~8多重バックアップでそのパフォーマンスを確認したところ、3多重で各ドライブ合計218.14MB/s、8多重で合計291.08MB/s、概ね200~300MB/sとなりました。実際のサイジングでは平均200MB/sほどと見ていいでしょう。

それぞれのバックアップ要件に応じた最適な手法の選択を

一般的にはバックアップ時間は金曜の終業時から月曜日の始業時までの間の48時間程度、平日に差分バックアップを実施するというのが多いようです。48時間でバックアップ可能な容量を算出してみると、「PowerScale Isilon IQ Backup Accelerator」を使ったDirect NDMPによる多重バックアップでは200MB/s×48時間でおよそ33TBになります。一方、LAN経由のRemote NDMPによるバックアップでは20MB/s×48時間でおよそ3.3TBです。
これらをまとめると、一般的な48時間のバックアップという場合、対象となる容量が3.3TB以下なら、格安なRemote NDMPによるバックアップシステムで十分です。一方、対象容量が3.3TBを超える場合には、「PowerScale Isilon IQ Backup Accelerator」を使ったDirect NDMPによるバックアップシステムが威力を発揮します。
東京エレクトロンデバイスでは、PowerScale IsilonスケールアウトNASの導入はもちろん、検証に基づいたサイジングのご提案や、導入後の運用支援まで一貫したサポートをご提供しています。また、PowerScale Isilon担当SEがお客様とマンツーマンで実施するハンズオンセミナー「PowerScale Isilonプライベートハンズオン」を定期的に開催しています。こちらもぜひご活用ください。
バックアップ容量 図解

ビジネス・デベロップメント部
南里修一