建設
仮想デスクトップ環境のパフォーマンス向上の切り札として、
オールフラッシュストレージを導入
お客様の課題
TEDのソリューション
企画部 ITグループ長
結城 陽治氏
企画部 ITグループ 課長
仙波 幹徳氏
安全で快適な社会を実現するために、「くらしをささえるものづくり」を経営の基本とする三井住友建設。土木ではPC(プレストレストコンクリート)橋・トンネル、建築では超高層住宅・商業施設を得意としており、海外においても東南アジアを中心とした日系企業の工場建設などの海外進出支援、また得意のPC橋工事などで途上国のインフラ整備に取り組んでいます。 同社は、建設作業拠点での業務システムの円滑利用を目的に仮想デスクトップ環境を構築しています。今回、そのパフォーマンス向上の切り札として、ピュア・ストレージのオールフラッシュストレージアレイ製品「FA-420」を導入しました。高いI/O処理性能によりパフォーマンスのボトルネックを解消するとともに、データ量を最大11分の1に削減して従来の約5倍の重複排除率を実現。業務システム利用の改善、および従業員の業務効率と生産性の向上に貢献しています。
三井住友建設では、全国に多数の建設作業拠点を有しています。事業の拡大により、その数は年々増加の傾向にあり、もっともプロジェクトが重なる時期には約450か所にのぼります。それぞれの拠点では、建築部材などの発注や請求書処理、原価管理などを行う業務システムを活用しています。
2010年に、各拠点に設置されたスタンドアローン型のPCで利用していた業務システムを刷新し、パッケージソフトの導入を行います。これにあわせて、拠点のPCをネットワークに接続して本部のサーバーとつなぐクライアントサーバー型にIT基盤を移行しました。
しかし、それまでの利用業務に対し、光回線を実際に引いていた拠点が全体の半数程度しかなく、また、建設期間が一年未満の現場では光回線を敷設しにくいなど、良好な通信環境を確保できないという問題が発生します。劣悪な通信環境では、工事に必要な発注書の作成だけで1時間もかかってしまうなど、拠点によって業務に大きな支障が出るほどのパフォーマンス劣化がみられるようになりました。
そこで、2011年よりクライアントサーバー型から仮想デスクトップ環境へのIT基盤のリニューアルを検討開始します。
クライアントサーバー型から仮想デスクトップ環境への移行を決定した理由について、同社企画部ITグループ長の結城陽治氏は次のように話しています。
クライアントサーバー型のシステム導入の際に、一年ほど時間をかけて十分な要件定義を行いました。業務の流れを徹底的に洗い出して作った筋の通ったシステムです。このワークフローを変更することなく、システムの性能を向上させるのにふさわしい仕組みが仮想デスクトップ環境でした」(結城氏)
仮想デスクトップ環境は、業務プログラムの実行やデータの保存などはサーバーに集約し、PCからネットワーク経由で画面を呼び出して利用する仕組みです。通信環境への依存度が低い仕組みの採用によって現場の業務効率の改善を目指し、まずは既存のファイルストレージを共有する形で仮想デスクトップ環境を構築し、2012年から段階的な導入を進めました。
ところが、再び業務に大きな支障が出る問題に直面します。当初はパフォーマンス改善がみられたものの、仮想デスクトップが100台を超えた頃からデスクトップ画面やブラウザの起動が遅くなったり、Windowsアップデートに1時間、再起動に30分もかかったりするなどの現象が発生するようになります。
そこで、パフォーマンス劣化の原因調査を進めたところ、共有ストレージがボトルネックになっていることが判明し、仮想デスクトップ環境用として新たなストレージを導入することで問題解決を図ることになりました。
この問題解決のカギとなる仮想デスクトップ環境用ストレージに、ピュア・ストレージのオールフラッシュストレージアレイ製品「FA-420」が採用されます。選定にあたっては、既存のファイルストレージの後継機にSSDをキャッシュとして搭載する方法やSSDとハードディスクのハイブリッド型ストレージ、他社製のオールフラッシュストレージも検討しましたが、パフォーマンスと機能の面からピュア・ストレージの採用を決定し、2014年に導入、運用を開始しました。
製品選定のポイントについて、同社企画部ITグループ課長の仙波幹徳氏は次のように話しています。
「第一にパフォーマンスを重視しました。具体的にはI/O処理性能です。当然コストも重要ですが、それよりも、業務システムの不具合を再び起こすことのないパフォーマンスを確実に実現することが求められました」
「第二に仮想デスクトップ環境の特性に合った機能、つまり重複排除や圧縮の機能を備えていることです。サーバーで集中管理する仮想デスクトップ環境では、データの削減が大きな課題です。「FA-420」のインライン重複排除機能と高いデータ圧縮率は、製品選択の重要なポイントとなりました」(仙波氏)
製品導入にあたり、東京エレクトロンデバイスでは、提案および実機を使ったデモンストレーションによる性能検証などのサポートを行いました。
「東京エレクトロンデバイスは、シリコンバレー発の新製品を定期的に紹介してくれるなど以前からコミュニケーションが良好だったため、今回の提案についても安心感がありました」(仙波氏)
オールフラッシュストレージの導入によって、仮想デスクトップ環境のパフォーマンスのボトルネックは解消され、建設作業拠点の業務システムは順調に稼働。ストレージ側の遅延が1ミリ秒以下に抑えられ、クライアントに重い負荷がかかる始業時なども高いI/O処理性能を発揮しています。
「ブラウザの起動時間が以前は1分程度かかっていましたが、導入後は数秒で済んでいます。デスクトップの再起動も30分から2分程度に大幅に短縮されました。Windowsアップデートの所要時間も1時間から15分になるなど、業務システムを利用する従業員の利便性が大幅に向上し、「FA-420」の性能を実感しています」(結城氏)
また、既存の共有ストレージではデータ削減効率が2分の1程度でしたが、「FA-420」を導入した後は、優れたインライン重複排除および圧縮機能により最大11分の1となりました。従来の約5倍の重複排除率を実現しています。
ピンチアウトで拡大
「現場の発注業務や原価管理のために構築した仮想デスクトップ環境ですが、現在はそれに加えて、モバイルデバイスからのメールやグループウェアの利用や、個人所有のモバイルデバイスの業務利用(BYOD)の仮想クライアント基盤としての活用も開始しています」(結城氏)
建設作業拠点における業務システムの円滑利用のために仮想デスクトップ環境を導入した三井住友建設ですが、オールフラッシュストレージによるパフォーマンス向上により適用範囲を拡大し、さらなる業務効率の改善を進める計画です。
記事は 2015年01月 取材・掲載のものです。