ストレージ導入ならフラッシュがもはや当たり前の 時代に突入した | 東京エレクトロンデバイス

なるほどオールフラッシュアレイを徹底解明

オールフラッシュアレイPure Storageの魅力

ストレージ導入ならフラッシュがもはや当たり前の 時代に突入した

高価格が弱点と言われてきたフラッシュストレージは、近いうちにギガバイト単価でハードディスクストレージを下回ると言われており、導入のメリットが高まっています。しかしそのメリットはほんの一部。ギガバイト単価からだけではわからないフラッシュストレージのさまざまな秘密を明らかにしていきます。

もうすぐフラッシュストレージのギガバイト単価が ハードディスクストレージのそれを下回る

2016年度中には、フラッシュストレージのギガバイト単価が、ハードディスクストレージのそれを下回るとの話が聞こえてくる。フラッシュストレージの価格が急速に下がっているからだ。価格に加え、フラッシュストレージには「高性能」という大きな優位性がある。この2つが揃うならば、もはや新規で導入するストレージ装置にフラッシュストレージを選ばない理由はないだろう。

そんなフラッシュストレージの市場には、いまや多様なプレーヤーがいる。当初は新興企業が市場をリードしていたが、2~3年くらい前から旧来のストレージベンダーもオールフラッシュアレイ製品の提供を本格化、それが市場全体の急激な拡大につながっている。当然、価格の低下にも拍車をかけることに。

一時期は、フラッシュストレージの信頼性、データの永続性、製品寿命などを懸念する声も聞かれた。しかし旧来の大手ストレージベンダーなどが参入したこともあってか、最近はそのような心配の声はほとんど聞こえてこない。すでに通常のエンタープライズシステムでの利用において、フラッシュストレージの信頼性や寿命などには何ら問題がないとの評価結果が各ベンダーから提示されている。

フラッシュストレージ製品の中には、とにかく高性能を求めるユーザー向けのものがある。一方で、性能はそこそこで価格性能比のバランスが優れたものもある。傾向として高性能を求めればギガバイト単価は上がり、超高性能を求めると大きなサイズのストレージを用意するのは予算的に難しくなる。そうなると、企業のシステムのうち性能を重視するものにだけ、高性能なフラッシュストレージを当てることになる。

場合によってはストレージというよりは、フラッシュストレージをキャッシュのように利用することもある。あるいはインメモリー・データベースのログ書き出しなど、特殊な用途に限定する使い方も出てくる。システムが独立した存在ならば、高性能なフラッシュストレージを「一部の処理の高速化」に使うのもいいだろう。

とはいえ、企業システムはさまざまに連携しているのが普通だ。その一部だけを速くしても、他が遅ければ全体としてはそれほど高速化のメリットが得られないことも多い。さまざまな性能のストレージを混在して使うハイブリッドストレージ構成では、結局、遅いストレージに全体の性能が引きずられることにも。なので、試しに高性能フラッシュストレージを採用するとしても、将来的には企業全体のストレージをフラッシュ化するように、当初から方針を打ち立てていたほうがよいだろう。

高価なイメージのフラッシュストレージの採用が TCO削減になる

すべてのストレージをフラッシュ化するメリットは、高性能を得られるだけではない。先行してフラッシュストレージを導入した企業の多くが、設置スペースと消費電力の大幅な削減をメリットとして挙げる。たとえば独立系フラッシュ・アレイ専業ベンダーのピュア・ストレージが、2015年から提供している「FlashArray//m」は、3Uサイズの小さな筐体に圧縮や重複排除機能の活用もあり120テラバイトを越えるデータを格納できる。それでいて消費電力は、トースターを下回るというのが売りである。

省スペースと低消費電力だけでも、旧来のハードディスクベースのストレージの償却期間を前倒しして入れ替えるメリットがあるだろう。初期段階でフラッシュストレージにそれなりの投資をすることになっても、運用コストの削減で数年もあれば元が取れると試算できるはずだ。

もう1つ、コスト削減に効くのが、フラッシュストレージの高いI/O性能である。データベースのボトルネックのほとんどは、ストレージI/Oにある。高レスポンスを得たければ、I/O性能を稼ぐためにストレージを数多く並べてI/O処理を分散させるのが普通だ。そうなると、ストレージ容量には余裕があっても、ストレージの数は増える。そういった構成では、ストレージあたりの使用量は30%に満たないこともざらである。データはまだまだ入れられるのに、性能確保のためだけに数を増やす。これでは、設置スペースも消費電力も大きく増えてしまう。

高性能のために処理を分散させるのは、ストレージだけでない。CPUのI/O待ちをなくすために、データベースノードも増やし、処理そのものを分散する方法もとられる。多くの商用データベースは、CPUコア数に比例しライセンス費用が発生する。だから性能確保のためにデータベースノードを増やせば、それだけ多くのデータベースライセンスが必要になり、商用データベースのライセンス費用が膨れ上がる。

オールフラッシュアレイを採用すれば、I/O待ちがなくなるのでデータベースノードを増やす必要がなくなる。結果的にCPUコアを減らせ、データベースライセンスを減らせる。これは大きなコスト削減となる。いまや高いイメージのオールフラッシュアレイの採用が、トータルでのコスト削減につながる投資へとなりつつあるわけだ。

PureStorageラインナップ
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フラッシュストレージのスナップショットの意外な活用法

業務系アプリケーションのデータベースがあり、そこから情報を抽出して情報系データウェアハウスなどを構築することは多い。データ抽出やロードにはそれなりに時間がかかり、データ更新処理は夜間バッチなどで行うだろう。

ところが、このような場合にも、フラッシュストレージならばユニークな方法で処理を軽くできる。たとえばPure Storageには「FlashRecover CloneSnapshot」と呼ばれる機能がある。これを使えば、データ抽出やロードは必要なくなる。データウェアハウス用にフラッシュストレージの上でスナップショットを作ればいいのだ。スナップショットで瞬時にデータを複製する。複製と言っても物理的にデータをストレージ上でコピーするわけではない。論理的な複製なので、瞬時にクローン化は終了し、ストレージ領域も最低限しか消費されない。

これは、オールフラッシュアレイに十分なI/O性能があるからこその機能である。複製したスナップショットは、新しいボリュームとしてマウントでき、リードやライトなどすべての処理が可能だ。重複排除や圧縮機能を活用することで、更新処理を行ってもデータ容量の消費は差分の最小限だけで済ませられる。この機能でスナップショットをとり、それに対し、テープなどにバックアップを取得するような使い方も可能だ。この方法であれば、本番環境にも影響を与えない。スナップショットを用いて遠隔地との間でレプリケーションを行えば、災害対策構成も容易に実現できる。

こういったさまざまなメリットがあることまで考慮できれば、すぐにフラッシュストレージに移行するとの判断もしやすくなるだろう。

FlashRecover CloneSnapshot
FlashRecover CloneSnapshot

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より良いものが登場するのを待って 買い控えている場合じゃない

とはいえ、いつフラッシュストレージに乗り換えるのかの判断には悩むかもしれない。技術進化が速いので、すぐに性能の高いモデルが発売されるかもしれないからだ。またフラッシュ化をしても、それを10年間使い続けるのであれば、ストレージ環境はやはり時代遅れになる。そうであれば4~5年で新しいフラッシュストレージへと移行するサイクルは変わらないことになる。それでは、IT担当者のストレージに関する悩みは消えない。

そんな悩みにピュア・ストレージは、ユニークなライセンス形態で応えている。それが「Evergreen Storage」というサポートモデルだ。これは1度購入したストレージを10年以上使えるようにしようと考えたもので、旧来のものを使い続けるのではなく、ストレージ用のソフトウェアをどんどん新しくできるようにしている。さらにストレージ容量も拡張でき、コントローラなどのパーツも新しいものに入れ替えられる。

これらを実現できるサポートライセンスを提供しているだけではない。たとえばパーツ入れ替えのたびに、移行作業が発生すればIT部門の手間は減らない。ピュア・ストレージではソフトウェア更新やパーツ交換などをダウンタイムなしで行えるよう、ハードウェア自体を独自設計し、高いモジュール性とアップグレード性を確保している。これにより、ストレージというハードウェアにも関わらず、クラウドと同様なサブスクライブ型ビジネスモデルを実現しているとも言える。

もはや「値段は高いけれど速いのがフラッシュストレージ」ではない。速いことがコスト削減を生み、省スペースや低消費電力も生み出す。さらにはサブスクライブ型ライセンスで、常に最新のものを利用できるというのであれば、前倒しでフラッシュストレージの導入を検討しても良い時期にある。システムの一部でフラッシュストレージを導入すると、性能の高さから逃れられなくなり、リピートで追加オーダーを行うユーザーがほとんどだと聞く。ストレージの新たなトレンドに乗り遅れないよう、フラッシュストレージの導入を検討すべき時期にあることはもはや間違いなさそうだ。


谷川耕一

谷川耕一 - Koichi Tanikawa -

著者プロフィール/近況
実践Webメディア「EnterpriseZine」DB Online チーフキュレーター ブレインハーツ取締役。AI、エキスパートシステムが流行っていたころに開発エンジニアに。その後、雑誌の編集者を経て外資系ソフトウェアベンダーの製品マーケティング、広告、広報などを経験。現在はオープンシステム開発を主なターゲットにしたソフトハウスの経営とライターの二足の草鞋を履いている。

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