Evergreen Storage: 容量とフットプリントの統合 | 東京エレクトロンデバイス

技術解説

Evergreen Storage: 容量とフットプリントの統合

3D TLC NANDに代表される技術によりフラッシュメモリは大容量化が続いており、フットプリントや消費電力あたりの容量効率はますます高まっています。一方、過去に導入した容量密度の低いストレージはそのまま使い続けるしかなく、その恩恵を受けることができません。今回は、Pure Storage FlashArrayを長期利用しながら、フラッシュメモリの進歩のメリットをどのように受容できるのかについて紹介します。

  • 大容量化が続くフラッシュメモリと、長期利用時の課題
  • 容量とフットプリントの統合
  • ストレージ資産の有効活用

大容量化が続くフラッシュメモリと、長期利用時の課題

SSDに代表されるフラッシュメモリは大容量化・高速化の技術進歩が進んでおり、一昔前と比べると、少ないフットプリントや消費電力で大容量の構成で導入することができます。しかし一方で、すでに導入している場合は容量密度の低いストレージデバイスやストレージシェルフを使い続けるしかなく、容量の増設のたびにフットプリントや消費電力が増えてしまうといった課題があります。

この課題を解決するPure StorageのEvergreen Storageに新たに追加された、容量増設のプランについてみていきましょう。

容量とフットプリントの統合

Pure Storage FlashArrayは、フラッシュモジュールやストレージシェルフの増設はもちろん、オンラインでの「取り外し」も可能です。最新世代の大容量フラッシュモジュールを増設した後、それまで利用していた容量密度の低いフラッシュモジュールから大容量フラッシュモジュールにアレイ内部でデータを移行し、古いフラッシュモジュールを取り外すことで、フットプリントや消費電力を抑え、容量密度を高めることが可能となります。

これらの容量とフットプリントの統合の流れを、前回FA-420からFA-m20へコントローラアップグレードした合計11TB (物理容量)のPure Storage FlashArrayを、合計20TB (物理容量)に増設するシナリオを例に紹介します。

増設前のアレイは、3UのFlashArray//m本体と2台の2Uのシェルフという合計7Uで構成されています。FlashArray//mでは本体にフラッシュモジュールを搭載することが可能なため、空いている左半分のスロットに合計 20TB (物理容量)のフラッシュモジュールを搭載します。その後、2台のシェルフ内に格納されているデータを、新たに増設した本体のフラッシュモジュールへアレイ内部で移行し、シェルフを取り外します。これらの作業や処理はオンラインで実行できるため、システムを停止する必要もありません。

 

容量とフットプリントの統合容量とフットプリントの統合

 

このように、容量を増設しながらも、フットプリントや消費電力は可能な限り抑える仕組みがあります。この例では、4倍以上のフットプリントあたりの容量効率化を実現しつつ、消費電力は38%も削減することができます。

ストレージ資産の有効活用

この容量の増設にかかる費用は、増設前の容量との差分のみというのも特長です。この例では、(増設後)20TB – (増設前)11TB = 9TB分の費用のみで済むため、それまでに導入した容量分を無駄にすることなく増設することができるというメリットがあります。

従来のストレージでは、リプレースの際にコントローラ・容量・ソフトウェア機能のライセンスなどを購入し直す必要があり、それまでに購入した資産を保守終了までに償却する必要がありました。しかし、Pure StorageのEvergreen Storageを活用すればリプレースが不要になり、一度導入したコントローラや容量は保守費のみでずっと使い続けることができます。新しいソフトウェア機能も利用することができるため、ITへの投資にも変化をもたらすと言えるでしょう。

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