オールフラッシュアレイがエンタープライズストレージにもたらすインパクト | 東京エレクトロンデバイス

なるほどオールフラッシュアレイを徹底解明

基本からわかるオールフラッシュアレイ

「オールフラッシュアレイ」がエンタープライズストレージにもたらすインパクト

企業が扱うデータ量が増加の一途をたどるなか、ストレージに求められる要件も変わってきています。複数のサーバーでストレージを共有する仮想環境や、膨大なデータの処理に耐えうるデータベースのためのストレージとして、近年一般的になっているのがフラッシュストレージです。

なぜフラッシュストレージが注目されているのか

サーバーの仮想化やVDIの活用が当たり前となり、企業が扱うデータ量も増加の一途をたどるなか、それらを支えるストレージに求められる要件も変わってきています。複数のサーバーでストレージを共有する仮想環境や、膨大なデータの処理に耐えうるデータベースのためのストレージとして、近年一般的になっているのが「NAND型フラッシュを用いたストレージ」(フラッシュストレージ)です。 なぜフラッシュストレージが採用されるのでしょうか。その理由の一つは、もちろんストレージ性能です。フラッシュメモリを記録媒体にしたフラッシュストレージは、ハードディスクでは物理的な限界となっているランダムアクセス性能を飛躍的に向上させます。これにより、特に膨大なランダムアクセスが発生するとされる仮想環境、データベース、VDIで課題となるストレージ性能のボトルネックを解決できるのです。 もちろん、現状のさまざまな企業が求める要件では、従来型のハードディスクを利用したストレージで十分というケースは今なお多くあります。しかし、今後拡張していくなかでの性能要件を考えた際、投資としての意味も含めフラッシュストレージを選定するケースも増えており、その注目度は高まっています。 フラッシュストレージを採用する理由は性能だけではありません。ほかにも、従来のストレージが抱えていたさまざまな課題を解決できるフラッシュストレージならではの特長があります。それらについて触れる前に、まずはフラッシュを利用した共有ストレージの種類を以下に見ていきましょう。

フラッシュストレージの分類

一概にフラッシュを用いたストレージといっても、いくつかの種類が存在し、大きくは4つのタイプに分類することができます(表1参照)。記録媒体を従来のHDDからSSDに置き換えたものから、アクセス頻度に応じてデータの格納先を変えるためにSSDとHDDを混在させたもの、またすべてをSSDや専用に開発されたフラッシュデバイスで構成したものまで存在します。

表1: フラッシュを用いたストレージの分類とそのメリット・デメリット

SSD搭載の 従来型ストレージ ハイブリッドアレイ フラッシュ
アプライアンス
オールフラッシュ
アレイ
メリット これまで採用していた製品と同じ機能・信頼性を引き続き利用可能 アプリケーション性能の高速化を、比較的安価なコストで実現 低レイテンシーによる、アプリケーション性能の高速化 安定したアプリケーション性能と、機能・信頼性を両立
デメリット フラッシュに最適化されていないため、十分な効果を得られない場合がある HDDへのアクセスが発生すると、アプリケーション性能全体へ影響あり 非常に高価。一般的なストレージの機能・信頼性が不十分 新興メーカー・新製品が中心で、選定の見極めが難しい
特長 HDDをSSDに置き換えたものなので、登場時期が早い SSDとHDDを混在し、SSDをキャッシュとして利用 専用に設計されたハードウェアで最適化 一般的なハードウェアを用いて、ソフトウェアで最適化
このなかで、今最も注目されているのが「オールフラッシュアレイ」です。データ領域がすべてフラッシュで構成されているため、性能遅延の心配がなく、企業での利用に必要なストレージ機能や信頼性を兼ね備えているという理由から採用する企業が多くなっています。 オールフラッシュアレイは、高い性能を発揮する一方で弱点となるのがその価格です。容量あたりのコストで見た場合、まだまだ高価であることは事実。この時点で検討から外してしまう企業も少なくありません。しかしながら、容量あたりのコストの問題をほかの面でカバーし、導入効果を最大限に引き出しているケースはいくつもあります。そのようなオールフラッシュアレイのさまざまなメリットをご紹介します。

オールフラッシュアレイのメリットとは

インライン重複排除・圧縮による格納データ量の削減

オールフラッシュアレイは、新興ベンダーや新製品が中心のため、従来のプライマリストレージでは提供されていなかった「インライン重複排除」、「圧縮機能」の提供が一般的になっています。Writeデータをチャンクに区切って重複判定を行い、すでに格納されているデータと重複しないユニークなデータを圧縮して格納するため、フラッシュの物理容量より多くの実効容量を提供することができます。

省スペース・省電力

従来のHDDベースのストレージでは、ストレージの性能の向上のためにHDDの数を増やす必要がありました。オールフラッシュアレイにすることで、ラック単位のスペースが必要だったストレージをたった数Uのスペースに収めることができ、データセンターへの利用料や電力コストを大幅に削減することができます。

システム設計や運用をシンプル化

I/O性能を引き出すためのアプリケーションでのチューニングや、アライメント調整といったストレージとの最適化が不要となるため、システム設計におけるストレージ最適化の工数を大幅に削減することができます。また、感覚的に操作することができるシンプルなGUIが提供されているため、ユーザー自身で構成変更などを行うことも可能です。

ライセンス費用の低減と長期利用にフォーカスした保守プログラム

従来、コントローラごとや容量ごとにライセンス購入が必要だったストレージのさまざまな機能が本体に含まれている製品が多くなり、導入時のコストで比較するとHDDのストレージと同等な金額となったり、拡張時のコストも抑えられるというメリットがあります。また、製品技術だけでなく、保守プログラムも従来とは異なる体系で提供し、保守料も含めたコストの最適化を実現できるケースがあります。

現在オールフラッシュアレイは、大手ITベンダーから新興ベンダーまでさまざまな企業の製品が登場しています。東京エレクトロンデバイスでは、2013年からオールフラッシュアレイの新興メーカーであるPure Storage社のFlashArrayの提供を開始し、これまで多くの企業に採用されています。Pure Storage FlashArrayの製品の特長および、オールフラッシュアレイの導入メリットがPure Storage FlashArrayによってどのように実現できるのかについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

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