「オールフラッシュアレイ」がエンタープライズストレージにもたらすインパクト
企業が扱うデータ量が増加の一途をたどるなか、ストレージに求められる要件も変わってきています。複数のサーバーでストレージを共有する仮想環境や、膨大なデータの処理に耐えうるデータベースのためのストレージとして、近年一般的になっているのがフラッシュストレージです。
なぜフラッシュストレージが注目されているのか
フラッシュストレージの分類
表1: フラッシュを用いたストレージの分類とそのメリット・デメリット
SSD搭載の 従来型ストレージ | ハイブリッドアレイ | フラッシュ アプライアンス | オールフラッシュ アレイ | |
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メリット | これまで採用していた製品と同じ機能・信頼性を引き続き利用可能 | アプリケーション性能の高速化を、比較的安価なコストで実現 | 低レイテンシーによる、アプリケーション性能の高速化 | 安定したアプリケーション性能と、機能・信頼性を両立 |
デメリット | フラッシュに最適化されていないため、十分な効果を得られない場合がある | HDDへのアクセスが発生すると、アプリケーション性能全体へ影響あり | 非常に高価。一般的なストレージの機能・信頼性が不十分 | 新興メーカー・新製品が中心で、選定の見極めが難しい |
特長 | HDDをSSDに置き換えたものなので、登場時期が早い | SSDとHDDを混在し、SSDをキャッシュとして利用 | 専用に設計されたハードウェアで最適化 | 一般的なハードウェアを用いて、ソフトウェアで最適化 |
オールフラッシュアレイのメリットとは
インライン重複排除・圧縮による格納データ量の削減
オールフラッシュアレイは、新興ベンダーや新製品が中心のため、従来のプライマリストレージでは提供されていなかった「インライン重複排除」、「圧縮機能」の提供が一般的になっています。Writeデータをチャンクに区切って重複判定を行い、すでに格納されているデータと重複しないユニークなデータを圧縮して格納するため、フラッシュの物理容量より多くの実効容量を提供することができます。
省スペース・省電力
従来のHDDベースのストレージでは、ストレージの性能の向上のためにHDDの数を増やす必要がありました。オールフラッシュアレイにすることで、ラック単位のスペースが必要だったストレージをたった数Uのスペースに収めることができ、データセンターへの利用料や電力コストを大幅に削減することができます。
システム設計や運用をシンプル化
I/O性能を引き出すためのアプリケーションでのチューニングや、アライメント調整といったストレージとの最適化が不要となるため、システム設計におけるストレージ最適化の工数を大幅に削減することができます。また、感覚的に操作することができるシンプルなGUIが提供されているため、ユーザー自身で構成変更などを行うことも可能です。
ライセンス費用の低減と長期利用にフォーカスした保守プログラム
従来、コントローラごとや容量ごとにライセンス購入が必要だったストレージのさまざまな機能が本体に含まれている製品が多くなり、導入時のコストで比較するとHDDのストレージと同等な金額となったり、拡張時のコストも抑えられるというメリットがあります。また、製品技術だけでなく、保守プログラムも従来とは異なる体系で提供し、保守料も含めたコストの最適化を実現できるケースがあります。
現在オールフラッシュアレイは、大手ITベンダーから新興ベンダーまでさまざまな企業の製品が登場しています。東京エレクトロンデバイスでは、2013年からオールフラッシュアレイの新興メーカーであるPure Storage社のFlashArrayの提供を開始し、これまで多くの企業に採用されています。Pure Storage FlashArrayの製品の特長および、オールフラッシュアレイの導入メリットがPure Storage FlashArrayによってどのように実現できるのかについては、こちらの記事で詳しく解説しています。