NGINX Management Suiteの脆弱性(CVE-2023-28656、CVE-2023-28724)について
NGINXの管理系製品を統合した製品であるNGINX Management Suiteの脆弱性が 2件報告されました。今回は、その内容に関して記載いたします。
今回は このGW中に公開された NGINX Management Suiteの脆弱性に関してのブログとなります。主な内容は以下となっています。
- NGINX Management Suiteに関して
- 報告された脆弱性に関して
脆弱性の詳細・緩和策・解決策、および、該当バージョンの情報に関してです。
NGINX Management Suiteとは
F5 NGINX Management Suite は、NGINXの管理系製品を統合した製品です。 APIの管理・運用が可能なAPI Connectivity Manager、NGINX OSSとNGINX Plusのインスタンスの追跡・管理が可能なInstance Manager、NGINX App Protect WAF(NAP)のセキュリティログのリアルタイム監視を可能なSecurity Monitoringが含まれています。WebUIを使って視覚的にNGINXを管理・操作ができる製品です。
本ブログでも過去に この製品に関して紹介させていただきました。
-
NGINX Management Suiteがリリースされました
https://cn.teldevice.co.jp/blog/p35701/ -
NGINX Management SuiteのSecurity Monitoringを使ってみた
https://cn.teldevice.co.jp/blog/p37569/
この製品で脆弱性が報告されました
このNGINX Management Suiteで 2件の脆弱性が報告されました。CVSS score が順に 8.1 と 7.1 で いずれも4段階中の上から2つ目の High となっています。
- NGINX Management Suite vulnerability CVE-2023-28656 (メーカーサイトのリンク)
- NGINX Management Suite vulnerability CVE-2023-28724 (メーカーサイトのリンク)
*CVSS score とは、メーカーがシステムの潜在的な悪用可能性に基づいて脆弱性レポートを調査し、優先順をつけ、CVSSv3 を使用して脆弱性の影響を表したものです。
CVSSv3に関しては 「CVSS(Common Vulnerability Scoring System) ~脆弱性の深刻度を評価するための指標~(共通脆弱性評価システムCVSS v3概説 | 情報セキュリティ | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構)」 を参照してください。
脆弱性の詳細
-
CVE-2023-28656
NGINX Management Suiteにおける権限昇格の脆弱性です。認証されたユーザーが攻撃者として承認ポリシーを回避し、構成オブジェクトを読み取ったり変更したりすることができます。NGINX Management Suiteで管理しているNGINXが影響を受けることはありません。
緩和策として、信頼できるユーザーのみにアクセスを制限することとなります。メーカーが推奨とする対策は、改修されたバージョンへのアップグレードです。 -
CVE-2023-28724
NGINX Management Suiteのデフォルトファイル権限が誤って設定されているため、攻撃者が重要なファイルを変更できる可能性があります。
認証されたユーザーによって攻撃が行われるため、信頼できるユーザーにアクセスを制限することが対策の1つとなっていますが、こちらも改修されたバージョンへのアップグレードがメーカー推奨対策となっています。
脆弱性のあるバージョン情報
該当するバージョンを以下に記載します。いずれも改修バージョンがリリースされています。
- Instance Manager 2.9.0 は 2023/03/21 にリリースされており、本稿執筆時点での最新バージョンは 2.10.0 です
- API Connectivity Manager 1.5.0 は 2023/03/28 にリリースされています
- Security Monitoring 1.3.0 は 2023/03/21 にリリースされており、本稿執筆時点での最新バージョンは 1.4.0 です
CVE-2023-28656 の該当するバージョン情報
該当モジュール | 影響のあるバージョン | 改修済みバージョン |
---|---|---|
NGINX Instance Manager | 2.0.0 – 2.8.0 | 2.9.0 |
NGINX API Connectivity Manager | 1.0.0 – 1.4.1 | 1.5.0 |
NGINX Security Monitoring | 1.0.0 – 1.2.0 | 1.3.0 |
CVE-2023-28724 の該当するバージョン情報
該当モジュール | 影響のあるバージョン | 改修済みバージョン |
---|---|---|
NGINX Instance Manager | 2.0.0 – 2.8.0 1.0.0 – 1.0.4 |
2.9.0 |
NGINX API Connectivity Manager | 1.0.0 – 1.4.1 | 1.5.0 |
NGINX Security Monitoring | 1.0.0 – 1.2.0 | 1.3.0 |
各バージョンの確認方法の紹介
インストールしているLinux環境によってコマンドが違っています。ご利用の環境に合わせてご確認ください。
- 公式サイト:Troubleshooting Guide | NGINX Management Suite
https://docs.nginx.com/nginx-management-suite/support/troubleshooting/
このページの 「 Check Installed Module Version 」 をご参照ください。
バージョンを確認するコマンドを実行すると "Version" という項目が表示されます。例えば、以下のように 「 Version: 1.3.0-793503817~focal
」 と表示されます。これは Security Monitoring バージョン 1.3.0 を表しています。
- Security Monitoring on Ubuntu の場合の出力例
Package: nms-sm Status: install ok installed Priority: optional Installed-Size: 1534 Maintainer: NGINX, an F5 company <support@nginx.com> Architecture: amd64 Version: 1.3.0-793503817~focal Depends: nms-instance-manager (>= 2.6), nms-instance-manager (<< 3.0) Description: NGINX Security Monitoring Dashboard Module Homepage: https://www.nginx.com/products/nginx-management-suite/
CENTOS, RHEL, RPM-BASED の確認コマンド
- Instance Manager:
yum info nms-instance-manager
- API Connectivity Manager:
yum info nms-api-connectivity-manager
- Security Monitoring module:
yum info nms-sm
DEBIAN, UBUNTU, DEB-BASED の確認コマンド
- Instance Manager:
dpkg -s nms-instance-manager
- API Connectivity Manager:
dpkg -s nms-api-connectivity-manager
- Security Monitoring module:
dpkg -s nms-sm
製品のアップグレード方法
2つの脆弱性の最も確実な対処方法として、改修されたバージョンへのアップグレードとなります。アップグレード方法の詳細はメーカーのサイトを参照してもらうことになりますが、少ないコマンド数でアップグレードを実施することができます。
- 公式サイト:Upgrade Guide | NGINX Management Suite
https://docs.nginx.com/nginx-management-suite/admin-guides/installation/upgrade-guide/
まとめ
NGINX Management Suiteの脆弱性情報でした。NGINX Management SuiteはWebUIでNGINXを管理することができる製品です。NGINXの設定情報ファイル(.confファイル)などの変更などもWebUI上から実施することができる便利な製品となっています。安全なご利用のためにも、緩和策の実施、もしくは、改修バージョンにアップグレードすることをお勧めいたします。