ダウンしなくなったことが何よりのメリット。
おかげで開発に専念できるようになりました。
お客様の課題
TEDのソリューション
株式会社セガ
VE研究開発部
プリプロ・R&Dセクション
プロデューサー
今村 理人 氏
株式会社セガ
VE研究開発部
プリプロ・R&Dセクション
プログラマー
脇坂 拓 氏
VE研究開発部は2006年4月に設立され、現在はゲーム内のCG映像の制作を行っており、今後はゲームだけでなく映像を使ったコンテンツ全般を手がける予定です。人数の増加とともに扱うデータの容量も格段に増え、従来の小規模なNASでは容量的にもパフォーマンス的にも近いうちに限界になることはわかっていました。
セガVE研究開発部のプリプロ・R&Dセクションのプロデューサーである今村氏は次のように語ります。
「我々の部署は映像制作のために容量の大きなイメージデータを大量に扱います。特に次世代ゲーム機で必要となるHDコンテンツを制作するためには、格段にパフォーマンスが必要とされます。これに対応できる製品が必要だ、ということで2006年の2月ころから情報収集を始めました」
業界内でよく利用されている製品や、別部署で利用経験のある製品などの比較検討を進めるうちに、PowerScale Isilon IQクラスタ・ストレージという製品を知り検証を開始しました。VE研究開発部のプリプロ・R&Dセクションのプログラマーである脇坂氏はIsilon IQとの出逢いをこう振り返っています。
「PowerScale Isilon IQとの出逢いは、社内での口コミでした。別部署で検証用に使っている製品が我々の部署にマッチするのではないかと紹介してもらったのです。その詳細を知って、面白い製品だなと思いました」
評価用として貸し出されたのは、1ノードで6TBの容量を持つPowerScale Isilon IQ6000iで、3台接続した18TBという環境で評価が行われましたがパフォーマンスを追求し、今後の拡張に備えるということで実際に選択されたのは1ノードの容量が3TBのPowerScale Isilon IQ3000iを5台で構成した15TBのシステムでした。
IQ3000iの場合は1ノードあたりの容量が小さくなるため、コンテンツ制作に必要な容量を確保するにはIQ6000iよりも台数が必要にはなりますが、ノード数が増えることによる線形的なスループットの向上が最も重視されました。
「通常運用における安定性という面だけならば対抗製品も十分なものを持っていたかも知れませんが、パフォーマンス面ではPowerScale Isilon IQの方が勝っていると感じました。我々が最も期待したのは拡張性です。今後増え続けるデータに対応していけるということを重視しました」(今村氏)
また、トラブルがあった場合でも、データはノード間をまたいで分散されており、障害があったノードを避けてデータを完全な形で読み出すことができるため、ユーザはトラブルを意識せずに業務を続けることができます。障害ノードの切り離しもシステムを止めずに瞬時に行えることも大きなメリットだと脇坂氏は強調します。
「まず第一に、落ちなくなったことが最大のメリット。データ書き込み中などに落ちると、作業が中断するだけでなく、長時間かかる作業が丸ごとやり直しになる。特に精細な画像を制作する作業では、クライアントPCで作業したものをレンダリングサーバに引き渡して描画計算を行わせますがそれが数時間かかることもあります。結果はストレージに書き出すのですが、ストレージが落ちていれば当然結果データは書き出されずにエラーとなってしまう。以前は非常に大きなストレスとなっていたこの問題が解決したことで、開発に専念できるようになりました」
今後は魅力あるコンテンツの作成を分野にとらわれず行っていきたいとする今村氏は、そのサポートをPowerScale Isilon IQが行っていると語ります。
「目標は日本のハリウッドです。海外で言えば、ピクサー・アニメーション・スタジオのような形を目指しています。映画作品に取り組むようなときには、当然ノードの追加が必要になります。この製品の特徴のひとつは拡張性だと思っています。ノード単位での追加が簡単にできるため、コスト的にも作業的にも小まめに対応しやすいのが魅力です。導入して終わりということではなく、業務の規模が拡大するにつれて必要となる拡張がスムーズにこなせる。それを実際に体験した時が、この製品を選んでよかったなと感じることができる瞬間ではないでしょうか」
今後、長編映像を制作することになれば、ストレージ容量は単純に考えて20TBから30TBくらいは必要になるのではないか、と脇坂氏は指摘しています。VE研究開発部でノード追加を行う日はそう遠いことではないはずです。
常に時代に先駆け、新たなエンタテインメントを提供し、世界中の人々に夢や喜びを届けてきた株式会社セガ。映像や画像と いった大容量のデータを多く扱っており、中でもCG映像コンテンツの制作を手がけるVE研究開発部では、増え続ける大容量 データの保存と取り扱いをスムーズに行わなければならないという問題をPowerScale Isilonのクラスタ・ストレージで切り抜けています。 導入前の苦労話とPowerScale Isilonとの出会いをVE研究開発部 プリプロ・R&Dセクションの今村理人氏と脇坂拓氏にうかがいました。
株式会社セガ様では、精細なCGコンテンツ制作による急激なデータ量増大や、不意のファイルサーバ停止による業務の停滞、やり直しといった問題に直面されていました。
新しいファイルサーバの導入を検討される上で、柔軟な拡張性や可用性の高さは必須の条件でした。この要件に最も適応する製品としてご選択いただいたのが、Dell Technologies社のPowerScale Isilon IQでした。
PowerScale Isilon IQはクラスタ・ストレージという新しい概念の製品で、3台以上のノード(筐体)でクラスタを構成します。このクラスタがひとつのファイルシステムを形成し、NFS、CIFS(Windows共有)、FTP、WebDAVのファイル共有サービスを提供します。各ノードはHDDとともにCPUやメモリ、ネットワークインターフェース等を装備しており、必要に応じてノードを増設することで、容量だけでなく処理性能も柔軟に拡張することが可能です。また、クラスタ構成によるハードウェアの完全冗長化が可能です。
このメリットを最大限に活かすべく、OSには下記のような機能が標準実装されています。
今回セガ様が導入されたシステムは、IQ3000i×5台、InfiniBandスイッチ×2台(冗長構成)、そしてUPSです。クラスタの実効容量はデータの冗長設定により異なりますが、N+1構成で約11TBです。10Gbpsの帯域を持つInfiniBandは、クラスタ間の通信に使用されます。停電対策としてUPSを利用し、Isilon IQが安全にシャットダウンされるように構成されています。
セガ様のように、制作するコンテンツにより必要なデータ量が異なり、プロジェクトによりスタッフ数も変化する環境では、はじめから必要なストレージ容量を見極めることは困難です。必要に応じて柔軟に容量を拡張できることは、セガ様にとって必須の条件でした。
また、商品となるコンテンツを蓄積するストレージには当然高い保全性が、厳しいスケジュールの中では高い可用性が求められますが、Isilon IQの自動的にデータを保全する仕組みやクラスタ構成による完全冗長構成は、これらの要求にも応えることができます。
さらに、ノード増設後もワンボリュームのまま利用でき、データごとに保存先ボリュームが異なる煩雑さから解放され、Web管理ツールを用いて単一のストレージとして管理できます。
その他、Isilon IQは様々な管理系プロトコルをサポートしており、セガ様ではDNSサーバをはじめとして、多数のユーザのアクセス権を管理するLDAPサーバ、時刻同期用のNTPサーバ、迅速な障害通知のためのSNMPマネージャやSMTPサーバとの連携が設定されています。
このように、運用管理のコストを削減して本来の制作業務に専念できるシステムであることは重要なポイントです。そして言うまでもなく、ファイルサーバの性能は制作効率に大きく影響します。多数のCG制作用PCやレンダリングサーバからのアクセスがファイルサーバに集中しますが、多くのスタッフや機材を投入するほど、アクセス量は増大します。
セガ様のノード5台構成はいわゆるNASヘッド5台に相当し、多数の端末からの大量のアクセスを並列に処理することができます。また、必要に応じて処理性能も拡張可能です。 まさに、クラスタ・ストレージIsilon IQは、コンテンツ制作現場に適したストレージ製品であると言えるでしょう。
ストレージ事業部 ストレージ技術部
佐野 匡
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記事は 2007年02月 取材・掲載のものです。