卸売業
万が一の障害発生時にも迅速な復旧を実現する「Rubrik」を導入
仮想化基盤との高い親和性でバックアップ/DRの負荷を大幅に抑制
お客様の課題
TEDのソリューション
岡谷鋼機株式会社
経理本部システム企画部
室長
柴田 隆仁氏
岡谷システム株式会社
ITインフラ事業本部
SI&サービス部
藤原 崇氏
岡谷鋼機株式会社では、バックアップ/DR(Disaster Recovery:災害復旧)システムの運用効率化と障害発生からの迅速な復旧を実現するため、Rubrikの仮想化環境向けバックアップアプライアンス「Rubrik r6404」を導入しました。仮想化基盤の刷新を目的として同時に採用されたNutanixのハイパーコンバージドインフラストラクチャ(以下、HCI)製品「Nutanix Enterprise Cloud Platform NX-8035」と組み合わせることで、仮想化基盤におけるシステム運用とバックアップ/DR業務の効率化を達成。万が一の障害時にも短時間でのシステム復旧を可能とし、ビジネスを停止させない環境を獲得しました。
ものつくりに貢献する感性豊かな"グローバル最適調達パートナー"を目指し、鉄鋼、情報・電機、産業資材、生活産業の4つの事業領域を軸として、グローバルにビジネスを展開する岡谷鋼機。同社のビジネスを根底から支えているのがITインフラであり、その設計、構築、運用を担うグループ会社の岡谷システムのサポートのもと、時代の趨勢と技術の進化を見据えながらIT基盤の強化に継続して取り組んできました。
「近年ではグローバルに事業を展開する中で、データウェアハウス(DWH)の構築による国内外子会社のデータの連携と一元管理をはじめ、Office 365の導入によるコミュニケーション強化、RPA(Robotic Process Automation)の導入による営業業務の改善などを推進しています」(柴田氏)
基幹系システムについても自社開発を行うとともに、周辺システムをVMwareによって仮想化統合し、現在では約150の仮想サーバーを運用しています。
そうした仮想化統合の背景には物理リソースの集約による運用の効率化やコスト削減だけでなく、インフラのソフトウェア化によるバックアップやDRの迅速化・簡素化がありました。岡谷鋼機は2011年の東日本大震災をきっかけに、もとより検討していたDR環境を本格的に構築。現在では、メインサイトからバックアップ/DR先サイトへ一日に一度バックアップを実施しています。DRサイト側でリストアを行うことで、メインサイト側で万が一システム障害が発生しても、業務を停止させない環境を整えていました。
しかし、そこで浮上していた課題がバックアップ/DR環境の運用にまつわる煩雑性と負荷でした。
「これまではバックアップ/DRを行う際に都度スクリプトを記述しており、記述から設定、動作確認に2日ほどの時間がかかっていました。バックアップ/DRシステムの運用担当者は他の業務も兼任しています。しかし、本来であれば岡谷鋼機のビジネスの成長を促すためのシステム開発に充てるべき時間を、バックアップ/DRシステムの運用に取られていたことも否めませんでした」(藤原氏)
岡谷鋼機は、既存のサーバーが保守期限を迎えることを契機に、仮想化基盤の刷新と合わせてバックアップ/DRシステムのリプレースを決定。そこで採用されたのが、Rubrik社の仮想化環境向けバックアップアプライアンス「Rubrik r6404(以下、Rubrik)」、およびNutanix社のHCI製品「Nutanix NX-8035(以下、Nutanix)」、Mellanox Technologiesの10ギガビット高速Ethernetスイッチ「Mellanox MSN2010」を組み合わせた、仮想化インフラのバックアップ/DRに最も適した東京エレクトロンデバイスの提案でした。
Rubrikを採用したポイントは、先に述べた課題を解消できることに加え、仮想化基盤、およびクラウドサービスとの親和性の高さがあったといいます。
「現在使用しているバックアップ/DRサイトは、将来的にはクラウドにも拡張したいと考えていました。そうしたニーズに対して仮想化基盤やクラウドサービスとの親和性が高いRubrikであれば十分に対応できそうだと期待しました」(柴田氏)
このほかにも、独自OSの採用により、サイバー攻撃からデータを保護し、データの喪失を予防できる点もRubrikの選定理由だったといいます。
ピンチアウトで拡大
2019年2月に東京エレクトロンデバイスの提案を採用した岡谷鋼機は2月から導入作業に着手。東京エレクトロンデバイスによる設計、構築サポートのもと、5月には本番稼働を迎えることができました。
「Rubrikの採用により、バックアップ/DRに関する課題を解消できました。仮想化環境との親和性の高さにより、煩雑な設定を行うことなくバックアップ/DRが可能になったほか、設定後の動作確認も2、3時間で済むようになっています。加えて『永久増分バックアップ』により、週次のフルバックアップが不要になったことも運用の効率化に一役買っています。また、Rubrik上で仮想サーバーを起動させNutanixに移行させたり、『インスタントリカバリ機能』を用いたりすることでリストアも迅速化され、万が一の障害発生時にも早期のサービス復旧が期待できるようになりました」(藤原氏)
また、これまではバックアップ処理が時間内に終わらず、翌日の業務に影響を及ぼすこともあったといいます。対して、Rubrikの導入後はバックアップに要する時間も短縮化され、業務に支障をきたすこともなくなりました。
運用管理性についても、藤原氏は次のように期待を述べます。
「バックアップ作業では主にコマンドラインを用いた操作を行っていますが、すべての運用担当者がそうしたオペレーションに習熟しているわけではありません。対して、Rubrikの分かりやすいGUIによる管理画面であれば、コマンドラインに不慣れな運用担当者でも容易に操作が可能です。これにより、バックアップ作業における属人性を排することができるようになると期待しています」(藤原氏)
最後に藤原氏は、次のように東京エレクトロンデバイスのサポートを評価するとともに、今後の支援に対する期待を述べました。
「東京エレクトロンデバイスは私たちがバックアップの運用手順やポリシーを変えなくて済むよう、独自にスクリプトを開発するなど、手厚い支援を行ってくれました。今後も引き続き、長年培ってきた高い技術力と経験に基づいた、私たちの業務をさらに効率化してくれるような提案やサポートをお願いしたいと考えています」(藤原氏)
1669年に名古屋の鉄砲町(現:本社所在地)にて打刃物商「笹屋」として創業、1937年に「株式会社岡谷商店」の社名にて会社組織として設立、1967年には現社名へと変更した岡谷鋼機は350年の歴史を持つ独立系商社です。世界市場において、ものつくりに貢献する感性豊かな“グローバル最適調達パートナー”となることを目指し、鉄鋼、特殊鋼、非鉄金属、電機・電子部品、化成品、機械・工具、配管住設機器、建設関連、食品などの国内販売・輸出入(三国間取引含む)を、岡谷鋼機グループのグローバルネットワークを通じて多面的に展開しています。
記事は 2019年10月 取材・掲載のものです。